『A3』のボディに強力な2.0リットルの直噴ターボ仕様エンジンを搭載する『S3』スポーツバックは、Sモデルの名前に恥じないスポーティな走りを実現する。
外観デザインは抑制の利いた仕上げという印象。フロントバンパーやリヤのディフューザー、排気管、アルミホイール&タイヤなど、標準車のA3スポーツバックとはいろいろな部分が異なるが、これ見よがしのスポーティさではない。
S3スポーツバックの車両重量はけっこう重い。フルタイム4WDに加えてパワフルなエンジンの搭載などにより、A3スポーツバックに比べると200kgほど重い1520kgに達している。
搭載エンジンがパワフルなだけに走りはボディの重さに負けずとてもスポーティなものになる。動力性能は206kW/380N・mで、アクセルの踏み込みに応じて気持ち良くエンジンが吹き上がり、それに合わせて強い加速が伸びていく。S3ならではの走りの感覚である。
足回りはけっこう硬めだ。18インチの大径タイヤを履くこともあって、相当にしっかりした感じの乗り心地になる。高架道路の継ぎ目部分などを走るときには、ちょっと硬すぎると思えるほどだ。
アウディドライブセレクトによって足回りなどの切り替えが可能。エンジンやトランスミッションのレスポンス、ステアリングの操舵(そうだ)力やサスペンションの硬さなどを調節できるから、道路状況とその日の気分に応じて切り替えて走れば良い。“個別”を選べば項目ごとの切り替えも可能だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。