【トヨタ FCVセダン 発表】「ガソリン車に置き換わる」トヨタの燃料電池車戦略

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トヨタ セダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV)
トヨタ セダンタイプの新型燃料電池自動車(FCV) 全 6 枚 拡大写真

トヨタ自動車は25日、燃料電池車(FCV)の市販第1号となる「セダンタイプの新型燃料電池車」を発表した。水素を燃料とし、化学反応により発電をおこなう電気自動車(EV)の一種で、排気ガスを排出しないエコカーだ。トヨタは「ガソリン車に置き換わる可能性がある」モビリティとして注力する。

自動車を取り巻く課題として、石油の枯渇問題、CO2排出量低減、大気汚染への対応などがあり、代替エネルギーを積極的に活用していく必要がある。「省石油」の観点からトヨタは、『プリウス』をはじめとしたエネルギー効率が高いハイブリッド車(HV)を積極的に投入、今後も車種を増やして行く計画であるという。一方で「脱石油」の観点から、トヨタHV技術を応用し電気、水素を利活用できるEV、FCVに取り組んでいく。

水素は、水や化石資源などから精製できるため資源が豊富であり、拡散しやすい、酸素と反応して発電でき用途が広く、内燃機関を超える効率がある、などのメリットがある。また、水素は都市ガスや肥料製造、石油精製など200年以上の歴史があるエネルギーであることから、「豊富な経験と最新の知識を活用し、ガソリン、天然ガスと同様に安全に使う事ができ、かつクリーンな燃料」であり、貯蔵・輸送面でも電気と比べ容易であることから、家庭、自動車など様々な分野への用途が見込まれる。

EVが電池容量の制限による航続距離の短さ、充電時間の長さなどの課題から限られた用途での使用が想定されているのに対し、FCVはガソリン車を超えるエネルギー効率の高さ、500km以上となる航続距離の長さ、水素補充時間の短さ(ガソリン車とほぼ同じ3分程度を想定)などから、ガソリン車と同じように一般に使えるクルマになる、とする。

トヨタは2002年よりFCVの試作車による実証実験を重ね、2008年モデルでは日米で100台以上を導入し200万km以上を走行、航続距離を830km(10・15モード)まで延長するなど技術向上をおこなってきた。従来のトヨタハイブリッド技術に、FCスタック、高圧水素タンクを組み合わせたFCVとすることで開発効率の向上、展開の拡大をおこなう。今回発表した新型FCVセダンでは、FCスタックで従来比2倍以上となる出力密度3kW/リットルを達成すると同時に、システムを小型化。水素タンクは貯蔵性能を約20%向上し、5.7wt%を達成。搭載本数を2本に半減、素材の見直しなどで低コスト化を実現した。

燃料電池の普及については、トヨタグループで取り組む。日野自動車ではFCバス、豊田自動織機ではFCフォークリフト、アイシン精機の家庭用燃料電池「エネファーム」などを展開すると同時に、水素インフラの整備、規制見直しなどについても積極的に政府などに働きかける。

新型FCVセダンの価格は700万円程度。価格としては高級車の部類だが、EVなどと同様普及促進に向けては政府からの補助金も想定。現在調整をおこなっているという。また、FCCJ(燃料電池実用化推進協議会)、政府などによる2015年基準から水素1kgあたり約900円相場の換算で、走行距離500kmを想定した場合4000円~5000円程度となることなどを背景に、ユーザーのランニングコストについてFCV開発主査・田中義和氏は「ハイブリッド車と同程度になるだろう」としている。

《宮崎壮人》

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