【日産 ティアナ 試乗】日本市場に最適のクルマが欲しい…松下宏

試乗記 国産車
日産 ティアナ
日産 ティアナ 全 14 枚 拡大写真
『ティアナ』の発売から2年近く前に北米版ティアナである『アルティマ』が発売されている。あるいは中国でも1年くらい前に中国版のティアナが発売されている。アメリカから2年遅れ、中国からも1年遅れでの日本での発売である。

今さらこの時期にわざわざティアナを日本で発売する意味があったのかどうか、そんな風に思わせるタイミングだ。

クルマそのものも全幅が1800mmを超えるなどアメリカや中国向けのサイズである。あるいは基本設計の時点が古いために最新の安全装備であるエマージェンシーブレーキが装備されていない。ティアナよりも前に発表された『スカイライン』や『エクストレイル』には装備されているのにだ。

今どきのクルマ選びでは、自動ブレーキの有無は大きなポイントだから、高級車とうたうクルマでこれがないのは厳しい。

ますますこの期に及んで日本で売り出す意味があったのかどうかと思ってしまう。月間の販売目標台数もわずか520台などという信じられないくらいに控えめな数字である。

内外装の仕様はそれなりの仕上がりだ。サイズの余裕があるためか外観デザインは高級車らしいものに仕上げられている。初代ティアナ以来のモダンビリングを継承したインテリア回りの質感もまずまずだ。

ハードウェアを見たなら、クルマはそんなに悪くない。2.5リッターエンジンだけに絞られたエンジンとCVTの組み合わせはまずまずだし、エコカー減税の免税には届いていないが燃費もそれなりだ。静粛性のレベルも高く、床面に振動が伝わっていることがわずかに指摘したいポイントとなる程度だ。

ダメなのはクルマ作りの方向性というか志である。日産は今は外資系の自動車メーカーだが、会社名が日産自動車というくらいで、日本に由来する自動車メーカーである。

西洋人や日本人向けに作ったクルマをついでに日本人にも売るのではなく、日本人向けに最適のクルマを作り、それを外国でも売る、そんな気概でクルマを作ってほしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ『ライズ』がカラフルに変身!? フルーツがテーマ『ハバナ フルーティーポップ』、キャルズモーターが発売
  2. 一人乗りマイクロEV「EQV-TREK」発売、355kgの軽量ボディで航続110km…107万8000円から
  3. 三菱『エクリプス クロス』新型、航続600kmのEVに…ルノーからOEM供給へ
  4. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  5. 世界初、個人所有できるレベル4自動運転「ロボカー」誕生、2026年に納車開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る