【ルノー キャプチャー インテンス 試乗】カタチ良し、性能良し、走り良し、使い勝手良し…中村孝仁

試乗記 輸入車
ルノー・キャプチャー
ルノー・キャプチャー 全 13 枚 拡大写真

デザインとは往々にして主観が入るから、どれをもって良しとするかは人それぞれ。しかし、とりあえずヨーロッパでベストセラーということは万人に受け入れられたということ。それがこのルノー『キャプチャー』である。

まあ日本人の感性とヨーロッパ人のそれは違うのかもしれない。例えば日本では、賛否を二分するデザインを持つ日産『ジューク』が、ヨーロッパでは一つの市場を開拓するほどの大ヒットとなり、それが元でキャプチャーをはじめとする多くのコンパクトクロスオーバーを排出する原動力になった。

さて、キャプチャーである。ベースはルノー『クリオ』。即ち日本名『ルーテシア』である。もっともそれほど単純ではなく、足回りは基本的にヨーロッパで販売される『クリオ エステート』のリアサスを用いたり、ダンパーはキャプチャー専用になるなど、クロスオーバーとして相応しい仕様に変えているから、まったく同一ではない。地上高20mmもオフロードを想定した仕様だ。しかし、4WDは用意されていないのだ。だからあくまでも都会で使うクロスオーバーだ。

大柄になったボディのせいもあり、車重はルーテシアよりも60kg重い。しかしながらエンジンとトランスミッションに関してはルーテシアと何ら変わらないから、性能的には若干だがルーテシアよりも落ちる。とはいえ1.2リットル直噴ターボの潜在的な性能はなかなかのもので、1270kgの車重に120ps、190Nmの性能は十分であった。

基本的に荷物を積むことを想定した足回りである。だからエステート用のリアサスを用いている。当然ながらサスペンショントラベルがあるのだろう。実際に試乗してみると乗り心地は明らかにルーテシアと比較した時に、快適である。また、遮音性に関してもルーテシアより優れていると感じられた。一方で、目線が高い視認性の高さはキャプチャーの特徴なのだが、その分ロール剛性は落ち、同時にソフトな設定のサスペンションは、高速で素早い転舵をした際に、ボディをグラリと傾ける。というわけで目線が高い分、かなりロールする印象を受ける。

どうしても相対比較になるが、ルーテシアに比較してこのクルマはホイールベースがたった5mmだが長い。しかし、その5mmの差はリアのレッグスペースで75mmの差となって表れている。同様にラゲッジスペースもルーテシアと比べた時に標準時で77リットルも大きい。前述したアイポイントは、ルーテシアよりも100mm高いのである。だから、周囲の状況を掴みやすく、安心感のあるドライビングをすることができる。

今回試乗したのは、インテンスという名の上級バーション。こちらには下級グレードのゼンにはない特徴がある。それが着せ替え可能なシート表皮だ。7パターンほど用意され、ジッパーで簡単に脱着できるというから、気分を変えるにはもってこいである。それに汚れたら洗濯機で水洗いもできるという。

というわけで、このクルマ。とにかく見て良し、乗って良し、走って良しのいいことずくめのモデル。ライバルと比較したときに大いに称賛されるのは、エフィシェント・デュアル・クラッチという名の6速デュアルクラッチトランスミッションだ。まあ正直言うとライバルのシングルクラッチとは比較にならないほどスムーズで軽快である。

もっとも、ルノーにはパドルシフトが付かない。そこが難点といえば難点だが、通常オートマモードで走った時は限りなくATに近い動きを見せるので問題はない。では何が足りないか。それは 安全面での充実と先進技術の導入という点だろう。確かにエンジンは直噴化されたが、アイドリングストップは付かず、いわゆるシティーセーフティーに類するエマージェンシーブレーキなどの装備は付かない。もっともそれらを装備すれば、当然価格も上昇し、ユーザーはそれなりの対価を支払わなければならないが、クルマとしてはこれが付いたら満点を与えられるほど出来が良い。

パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁|AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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