【スズキ Vストローム1000 ABS 試乗】サスセッティングで激変、ロードスポーツばりのハンドリング…和歌山利宏

モーターサイクル 新型車
スズキ・Vストローム1000 ABS
スズキ・Vストローム1000 ABS 全 18 枚 拡大写真

アドベンチャーカテゴリは、言ってみれば各カテゴリーに多様化した現在のバイクに対し、70年代以前の汎用性の高いバイクを高次元化した形と言えなくもなく、そこに人気の理由があると見ていいのかもしれない。

実際、オフロードにも対応できる走破性を備えながら、多くのユーザーはオンロードのみでの使用というのが現実で、今回の『Vストローム1000 ABS』もオンロードがメインステージだ。

ハンドリングは、ゆったりとした安定性よりも、キビキビと走れる操縦性が重視されている。高速コーナーを普通に流す走りだと、安定感に浸るよりも、もっとスポーツしろと煽られる気がしないでもない。ところが、低中速の連続するコーナーでペースを上げると、ロードスポーツモデルばりのコーナリングを見せつけてくれる。「アルペンマスター」をキーワードとした作り込みに納得させられる快速ぶりである。

アドベンチャーには、もっと安定性指向が望ましいとも思ったが、リアサスのプリロード調整ノブを3回転弱めると固さがなくなり、私の体重に程よくなっただけではなく、ハンドリングもやや穏やかに変化した。オプションのトップ・サイドケース装着車では、リアサスがさらに沈み込んでいる印象で、ゆったり落ち着いたハンドリングに変貌。あらゆる好みに対応できそうな、セッティング性の高さがうかがえた。

高いコーナリング性能をサポートするかのように、フロントブレーキはかなり強力だ。しかしながらコントローラブルで、低入力の握り込みにも忠実に反応してくれ、その強力ぶりをスパルタンに感じることはない。もし、緊急時に慌てて握り過ぎたときは、ABSが働いてくれるから安心だ。

フロントフォークはフルアジャスタブルで、しかもリアサスより、フィーリングにもハイグレード感がある。ブレーキングで、大型な車体に不安定な挙動が生じることがなく、コーナリング性能だけでなく、扱いやすさにも貢献している。

トラクションコントロールはオフも含めて3段階調整式で、介入度の低い“1”では、舗装路面で、1速で急発進すると作動、それでいて普通の走りでは作動を感じない。路面状況の変化に対処してくれそうで、頼もしい。

電子制御装置満載の豪華さはないものの、走りながらでもワンタッチで角度調整できる、ラチェット機構を用いたウインドスクリーンをはじめ、現実的な装備は充実。質実剛健なスポーティアドベンチャーである。

《和歌山 利宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  2. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  3. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』が日本導入…6月の新型車ランキング
  4. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  5. 「まさにアメリカンスポーツの最高到達点」1000馬力越えの『コルベット』にSNSも注目!コスパ最強ハイパーカー誕生か
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る