【ドゥカティ ディアベル 試乗】クルーザーなのに走りはスポーツ、新型エンジンは低速域を改善…和歌山利宏

試乗記 輸入車
ドゥカティ ディアベルを試乗する和歌山利宏氏
ドゥカティ ディアベルを試乗する和歌山利宏氏 全 16 枚 拡大写真

『ディアベル』は3年前に登場したドゥカティのクルーザーである。

ホットなイメージのあるドカに、クルーザーは似つかわしくないとも思われたが、市場に投入されるや、ドカらしい走りは人々の期待を裏切ることなく、高性能なのにリラックスできる点が受け入れられ、また、日本では足着き性の良さも手伝って、人気を博してきた。

ディアベルでワインディングを走れば、誰もが並みのクルーザーとは一線を画していると気付くに違いない。ライダーへの依存度が高く、与えたアクションにバイクがしっかり応え、うまくいったときの充実感や爽快感は最高。バンク角も41度あるため十分に楽しめる。

車両重量はクルーザーとしてはかなりの軽さで、扱いやすさも群を抜いている。ハンドルの切れ角が片側35度と国産ネイキッド並みに大きく、取り回しもしやすい。動力性能もエキサイティングで、まさに“パフォーマンスクルーザー”そのもの。トラクションコントロールやABSが装備され、パワーモード切り換え機構など電子制御面でも革新的である。

今回登場の新型ディアベルは、車体や足回りを従来型から引き継ぎ、車体ディメンジョンも変わらない。乾燥重量も、上級グレードの『ディアベル カーボン』は以前よりも2kg軽い205kgだが、スタンダードモデルは210kgのままである。

ただ、基本スタイリングを踏襲するもディティールに改良を加え、フルLED化されたヘッドライトとそのサポート、メーターバイザー、エアインテークが大型化されたサイドパネル、新形状のシートなど外装パーツを刷新。筋肉質なフォルムを強調している。また、サイレンサーもスラッシュカットされ、ショートテイルでマスの集中感を強めている。

そして、新型の正常進化に貢献しているのが、改良されたエンジンである。従来通り、『1198』用の水冷DOHC4バルブJ型2気筒を基本に、バルブオーバーラップを41度から11度に小さくした「テスタストレッタ11°」エンジンを『モンスター1200S』と同じ第二世代へと発展。インジェクターの装着位置を変更、スパークプラグを気筒当たり2本とし、二次エア導入装置を採用することで、霧化状態と燃焼状態を改善している。

そのため新型は、特に低回転でのスロットルワークに対する反応がスムーズかつ忠実になっている。そしてギクシャクしにくく、粘りも増している。だから、渋滞した街中でも、気を使うことなくリラックスできる。

取り回しや小回り旋回も、スロットルで御しやすく、ステアリングの過度な切れ込みなどはなく素直である。少々路面が荒れたコーナーでも、スロットルで挙動を修正でき、姿勢を乱しにくくなっている。

また、トルクを全域で増強。初代は高回転域に向かっての吹き上がりがエキサイティングだったのに対し、新型は中高回転域も強大なトルクで覆われ、クルーザーらしい力強さを堪能できる。

初代からの踏襲で、エンジンモード切り換えが装備されていることに変わりはないが、モンスター1200S同様にABSやトラコンなどの制御レベルが連動し、車両性格までもアレンジできる。各モードの特性は、スポーティでダイレクトなレスポンスを楽しめる「スポーツ」、ディアベルらしさを素直に表現してくれる「ツーリング」、和んだ気分にさせてくれる「アーバン」といった具合である。

そんなディアベルに乗っていると、クルーザーであることを忘れてしまいそうになるときがある。ステップは一般的なネイキッドモデルよりも10mm少々前方にあっても、ハンドル位置は快適指向のネイキッドに近いと言えなくもない。しかし、そのスポーティさは、クルーザーの域を超えている。

《和歌山 利宏》

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