しなの鉄道『ろくもん』はどんな車両?…車内外のデザインを見る[写真蔵]

鉄道 企業動向
7月11日から営業運転を開始する、しなの鉄道の観光列車『ろくもん』。同社の普通列車で使用している3両編成の電車を観光列車用に改造した。写真は大きな窓が設けられた1号車の中央部。
7月11日から営業運転を開始する、しなの鉄道の観光列車『ろくもん』。同社の普通列車で使用している3両編成の電車を観光列車用に改造した。写真は大きな窓が設けられた1号車の中央部。 全 39 枚 拡大写真

しなの鉄道『ろくもん』は、沿線ゆかりの武将・真田幸村の「赤備え」をイメージした濃い赤が印象的な観光列車。長野県産の木材を多用した車内は一般指定席のほか、地元食材による食事サービスも行い、「しなの鉄道沿線地域の魅力満載列車」として7月11日から運行を開始する。

【編成】
しなの鉄道所属の115系(S8編成)を改造した3両編成で、軽井沢方から1号車(クモハ115-1529)・2号車(モハ114-1052)・3号車(クハ115-1021)。各車とも車体中央のドアは埋められ、他の客窓よりやや大きめの窓を設けている。3号車には同鉄道で初となる車椅子対応のトイレが設けられている。改造はしなの鉄道の車両検査などを行っている屋代駅(長野県千曲市)構内の長電テクニカルサービスで実施された。改造費用は編成全体で1億円強という。

【外観】
外観・内装のデザインはJR九州のクルーズトレイン『ななつ星 in 九州』などを手がけたデザイナー・水戸岡鋭治さんが担当。車体は屋根や窓枠も含め、真田幸村の「赤備え」をイメージした「『ろくもん』赤」と呼ばれる濃い赤に塗られ、真田氏の家紋である「六連銭」「結び雁金」「洲浜」をゴールドで描いている。

【内装】
車内は座席やテーブルなどをはじめ各部分に長野県産の木材を多用。1号車はカラマツ、2号車はスギ、3号車はヒノキを主に使用している。

●1号車 クモハ115-1529
家族連れやグループ向けの車両で、食事の提供を行わない指定席として使用される。座席は2+1の配列で24席。それぞれ大型のテーブルを挟んで向かい合わせに配置されており、2人がけは白い皮張り、1人がけは各席で異なるファブリックを使用している。

中央のドアがあった部分には、子供の遊び場として木製の玉を敷き詰めた円形の「木のプール」を設置。子供が中に入った際に沈み込んでプールのように遊べるよう、木の玉は完全な球ではなく微妙な楕円形になっているという。この工夫は水戸岡さんのアイディアによるという。

車端部にはソファとサブサービスカウンター、荷物置き場を設けている。

●2号車 モハ114-1052
「食事付きプラン」のある列車として運行する際、食事を提供する車両として使用される。座席は全28席で、中央のドアを撤去した部分がテーブルを挟んだボックス席、その他の部分は窓側を向いたカウンター席と、窓を背に反対側の車窓を眺められる2人がけのソファ席となっている。

1号車寄りの車端部は自由に使用できるソファ、3号車寄りの車端部には食事用のサービスカウンターを設けている。

カウンター席・ソファ席の向きは車体中央のボックス席を境にそれぞれ異なり、浅間山側を向いているのは軽井沢寄りの11席。営業運転では、車窓に浅間山がよく見える御代田~信濃追分間で徐行し、案内放送も行うという。

●3号車 クハ115-1021
「食事付きプラン」のある列車で運行する際、食事を提供する車両として使用される。座席は全20席で、1+1配列のソファを設けたボックス席。それぞれのボックスは壁と障子によって仕切られ、個室に近い落ち着いた空間を演出している。2号車寄りの車端部には車いす対応のトイレを設置。戸袋部分にはグッズなどが並ぶショーケースも設けられている。

【運行】
定期観光列車としての運行区間は軽井沢~長野間。食事付きプランはしなの鉄道1日乗車券付きで大人・子供とも1万2800円、食事なしの指定席は大人1000円・小児500円となっている。

現在発表されているダイヤでは1日3本(軽井沢発2本・長野発1本)の運行で、このうち『ろくもん1号』(軽井沢10時41分発)と『ろくもん2号』(長野13時23分発)は1号車が指定席、2・3号車が「食事付きプラン」での発売となる。『ろくもん3号』(軽井沢15時57分発)は全車とも食事を提供しない指定席として運行する。

しなの鉄道によると、受付は6月11日から開始したが、7月前半は既に大半の予約が入っており、後半以降はまだ余裕があるという。同社では『ろくもん』の団体列車や企画列車としての運行も考えていきたいとしており、同社線内以外での運行も考えられるだろう。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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