JX日鉱日石開発、米国で火力発電所の排ガス活用による原油増産へ

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JXホールディングスの子会社であるJX日鉱日石開発は15日、米国にて、石炭火力発電所の燃焼排ガスから回収した二酸化炭素(CO2)を活用し、原油の増産を図るプロジェクトを開始したと発表した。

老朽化した油田でも原油生産量を飛躍的に増加させる効果と、石炭火力発電所から大気中へ排出する温暖化ガス(CO2)の低減を同時に実現できる画期的なプロジェクトとなる。

このプロジェクトは、JX開発の米国子会社JX Nippon Oil Exploration(U.S.A) Limitedが出資するJX Nippon Oil Exploration(JX EOR) Limitedが関与し、米国の大手電力会社 NRG Energy, Inc.(NRG)の子会社と JX EOR との 50:50の合弁事業会社を通じて実行する。

この合弁事業会社が、米国テキサス州のW. A. パリッシュ石炭火力発電所に、燃焼排ガスから CO2を回収する世界最大規模のプラントを建設し、回収したCO2をテキサス州のウェスト・ランチ油田(同発電所の南西約130kmに所在)の地下に圧入することで、原油の増産を図る。

本プロジェクトのCO2回収プラントは、三菱重工業の米国事業会社である米国三菱重工業と米国の大手建設会社TIC(The Industrial Company)によるコンソーシアムが建設する。CO2回収能力は日量4776トンであり、燃焼排ガスからCO2 を回収するプラントとしては世界最大となる。

同時に、このスキームを通じて、これまで同石炭火力発電所から大気中に放出されていたCO2を、年間約160万トン削減することができる。

2016年第4四半期からCO2回収プラントの商業運転およびウェスト・ランチ油田へのCO2の圧入を開始する予定で、同油田の生産量は現在の日量約500バレルから日量約1万2000バレル(プロジェクト期間平均)へと飛躍的に高まり、累計増産量は約6000万バレルとなる見込み。当社はNRGとの合弁事業会社を通じてウェスト・ランチ油田の25%権益を保有している。

本プロジェクトの必要資金については、クリーン・コール・パワー・イニシャチブ・プログラム(米国における環境調和的な石炭利用技術の促進政策 )のもと、米国エネルギー省から補助金(167百万米ドル)が得られるほか、株式会社国際協力銀行および株式会社みずほ銀行との間で、プロジェクト・ファイナンス方式での融資に合意している。みずほ銀行の融資に対しては、日本貿易保険による保険が付保される。本プロジェクトは総額約10億米ドルの投資規模を見込んでいる。

本プロジェクトは、CO2 の圧入により石油の増産を目指す取り組み(石油増進回収技術:CO2-EOR(Enhanced Oil Recoveryの略))の中でも、石炭火力発電所から排出されるガスを活用して商業化に導いた案件という点で、先進的なものといえる。

CO2-EORは、地球温暖化の原因となるCO2を地中に貯留し、同時に石油の増進回収も可能とするもので、同社グループは、2011年に独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構およびベトナム国営石油会社とともに、ベトナム洋上ランドン油田において CO2-EOR パイロットテストを実施するなど、原油の増進回収を重点的な技術と位置付けている。

《山内 博》

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