火星の超精密地図作成へ…探査機データを宇宙ミュージアムTeNQで見学可能

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火星の超精密地図作成へ…探査機データを宇宙ミュージアムTeNQで見学可能
火星の超精密地図作成へ…探査機データを宇宙ミュージアムTeNQで見学可能 全 1 枚 拡大写真

2014年7月15日、アリゾナ州立大学とアメリカ地質学局(USGS)は、火星の地形を記録した最も精密な地図作成を開始すると発表した。

火星の地形データは、NASAの火星探査機「Mars Odyssey(マーズ・オデッセイ)」に搭載された熱放射撮像カメラ「THEMIS」のデータを元にしている。火星の夜間に撮影された2万枚の温度データを元に、火星表面の形状を最も高解像度で記録した地図を作成する。

地図は、熱慣性と呼ばれるデータを元に作成される。熱慣性とは、地表の熱が冷める速さの違いで、砂や塵のように細かい物質は昼間にあたためられた後の冷め方が速く、熱慣性の値は低い。反対に、岩盤は日中温まりにくく、夜間は冷めにくく、熱慣性の値が高い。画像では、夜間に暗く映っている部分は熱慣性が低い部分を反映しており、砂や塵、沈泥(シルト)など細かい粒子が多いと考えられる。明るく映る部分はより温かく、粒の大きな砂や岩塊、岩盤などの存在を反映していると考えられる。

こうした違いから、火星表面の物質の質の違いがわかる。サンプル画面では、白く明るく映ったリングはクレーターの縁に岩が露出している部分を反映し、大きな明るい部分は岩や固い外皮であることがわかる。暗く映った砂や塵は隕石の衝突によりクレーターの中央から筋状に周囲に飛び散って溜まっている。THEMISデータから、これまでで最も解像度の高い、1ピクセルがサッカー場ほど(110×75メートル)の地図が作成可能になるという。

マーズ・オデッセイは2001年に打ち上げられたNASAの火星周回探査機。ガンマ線分光計や熱放射撮像カメラなどのミッション機器を搭載し、観測結果から火星の南極・北極の地下に水が存在する可能性が判明した。THEMISデータによる地形情報から、2004年にはマーズ・エクスプロレーション・ローバー、「スピリット」と「オポチュニティ」、2012年にはマーズ・サイエンス・ラボラトリー「キュリオシティ」の着陸地点決定を支援している。2020年にNASAが計画している次期火星ローバーの着陸地点決定にも同じデータが使われるという。

2014年7月8日、東京都・文京区の東京ドームシティにオープンした宇宙ミュージアム「TeNQ」では、同ミュージアムに研究分室を開設した東京大学総合研究博物館 宮本英昭准教授とNASA、アリゾナ州立大学の協力により、マーズ・オデッセイのTHEMISカメラから送信された最新の映像を見学することができる。

《秋山 文野》

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