PM2.5も観測、「いぶき」後継機は「だいち2号」共通バスを使用

宇宙 科学
GOSAT-2の軌道上イメージ
GOSAT-2の軌道上イメージ 全 1 枚 拡大写真

2014年7月23日、文部科学省 第16回宇宙開発利用部会において、温室効果ガス観測技術衛星2号(GOSAT-2)プロジェクトの詳細が報告された。2017年度打ち上げ予定のGOSAT-2は温室効果ガス(CO2)に加え、一酸化炭素、PM2.5などの監視を行う。

GOSAT-2は、2009年に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」の後継機となる地球観測衛星。JAXA 宇宙航空研究開発機構、環境省、国立環境研究所が協力し衛星開発から運用、データ検証と利用までを行う。

GOSAT-2の開発・製造は三菱電機が担当し、衛星バスはJAXAのレーダー地球観測衛星「だいち2号(ALOS-2)」をベースとしている。衛星重量は2000kg以下を目指し、打ち上げ時1750kgの「いぶき」に近い予定。高度613kmの太陽同期準回帰軌道で回帰日数は6日間。打ち上げは2017年度中で、開発予定表では2018年初頭と見られる。H-IIAロケットで打ち上げられ、設計寿命は5年となる。プロジェクト総資金は404億円、うち衛星開発分は215億円。

GOSAT-2では温室効果ガス観測センサ2型「TANSO-FTS-2」と雲・エアロソルセンサ2型「TANSO-CAI-2」ふたつのミッション機器を搭載する。温室効果ガス(CO2)の観測精度は「いぶき」の4ppmから0.5ppmに向上し、観測メッシュの細かさも陸域で1000キロメートル四方から500キロメートル四方となった。また、雲・エアロソルセンサでは微小粒子状物質(ブラックカーボン、PM2.5など)の観測が可能になり、大気汚染の監視に貢献するという。JAXAのプロジェクト以降審査結果hでは、PM2.5の観測を社会的要請に応えたものとしている。

今回、搭載される観測センサの主要な検出器、フーリエ変換分光計は海外メーカーから調達することとなった。「いぶき」では国産だった機器を海外製とすることになるが、試験などで得られる情報をGOSAT-3以降も見据えて知見、経験を獲得していくという。環境省では、GOSAT-4まで連続して衛星からの温室効果ガス観測を継続したい意向があるという。

《秋山 文野》

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