クルマの塗装を子どもたちが体験…「将来のきっかけに」ホンダボディサービス栃木

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ホンダボディサービス栃木で開催された「夏休み工場見学会」
ホンダボディサービス栃木で開催された「夏休み工場見学会」 全 26 枚 拡大写真

7月29日、栃木県宇都宮市にあるボディショップで「夏休み工場見学会」が行われた。

同イベントは、宇都宮市主催のもと、BASFコーティングスジャパンやホンダボディサービス栃木の協力によって開催。当日は約50名の親子が参加し、環境に配慮した水性塗料について学ぶとともに、板金・塗装の擬似体験を行った。

水性塗料の重要性をアピール

会場となったホンダボディサービス栃木は、現在30名程のスタッフでひと月あたり約250台の車両に対応する。VOC(揮発性有機化合物)を含まず人体や環境への負担が少ない水性塗料への全面切り替えをはかったのは2009年。水性塗料は、作業道具や塗装技術が従来の溶剤系塗料と異なる。同社ほどの規模を持つボディショップでは、完全に切り替えるまで3か月~半年ほどを要するが、社員全員で積極的に取り組み、約1か月で導入を実現した。

ホンダボディサービス栃木の長嶋敏 専務取締役は「水性塗料を使用することで、環境対策をしながらクリーンに仕事ができる。他のボディショップにも浸透して欲しいという思い、一般の方にも知っていただきたいという思いから、宇都宮市の賛同を得てこのようなイベントを開催するに至った」と話す。

宇都宮市は環境対策を啓蒙するとともに、子どもを対象とした工場見学会を企画している。環境保全課の山口佳久氏によれば「通常は製造ラインの見学のみという場合も多いが、こちらでは実際に作業を体験できるので、参加者から好評を得ている」という。

よりリアルな板金・塗装体験を

当日参加した子どもたちは、環境問題や水性塗料についてクイズ形式で学んだ後、つなぎや帽子、マスク、ゴーグル、手袋など、本格的な装備を身に付け作業体験に臨んだ。これらはBASFが用意したもので、実際に作業員が使うものを忠実に再現している。

塗装体験を行うキッズファクトリーでは、より参加者の安全に配慮した水性絵の具を使い、スプレーガンで車に吹き付けていく。「自然と人との絆」テーマに基づいて、虹や葉、子どもたちの手形などで彩られた。

板金体験では、凹みのある鉄の板を金槌で叩いて伸ばし、その上にパテを塗って平らに仕上げる。昨年はバンパーやフェンダーの取り外しや取り付けという内容だったが、より実際の作業工程に近い体験をしてもらうべく変更したという。

また、ミニチュアのモデルカーを用意し、ボディと同じカラーパネルを選ぶ比色体験も実施。塗料の混ぜ方でどのように色が変化するかという調色作業の再現も、水性絵の具で行った。

イベントには午前午後に分かれ、各回15名ほどの子どもたちが参加したが、その一人ひとりにサポート役としてホンダボディサービス栃木スタッフが付いた。楽しみながら体験してもらうとともに、安全管理も徹底して行っている。

将来の道を選ぶきっかけに

体験を終えた子どもたちは「スプレーガンを使って色を塗ったのは初めてだったので、楽しかった。同じ所にずっと吹き付けると色が変わってしまうので注意しながらやった」、「板を叩いて伸ばすのが難しいと思った。今日の体験でもっとクルマが好きになった」などと感想を話した。

慢性的な人手不足に悩む板金・塗装業界。長嶋氏は、環境にも人にも優しい水性塗料のメリットや作業工程を知ってもらうことで、“汚い、危険”というイメージを変え、後継者の増加に繋げたいという。「見聞きするだけよりも、実際に手を動かして感じてもらう方が、子どもたちにとって多くのことを学ぶ経験になると思う。将来自分の道を選ぶときに、何かのきっかけになってくれれば嬉しい」(長嶋氏)と語った。

今回子どもたちによって塗装された車両は、8月上旬から中旬にかけて、ホンダカーズ栃木 インターパーク店に展示される予定だ。

《吉田 瑶子》

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