【ジャガー Fタイプ クーペ 試乗】ひたすら音に酔い、ブレーキにひれふす気分…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
ジャガー Fタイプ クーペ
ジャガー Fタイプ クーペ 全 16 枚 拡大写真

このテのクルマを購入する人は、やはり「一番高いのちょうだい」と言うんだろうか。

【画像全16枚】

だとしたらV6エンジンのこのクーペより、V8エンジン搭載のSクーペや、Rクーペじゃないとダメなんだろうか。いや、しかし。英国の正統派な品を考えれば、このV6エンジンのバランスのよさは捨てがたい。

全幅1925mm。いったいどうすればこんな無茶なサイズが出てくるのか。しかし、デザイナーがこれ以上1mmも削れないというフォルムは、ボリューミーでありながら無駄がなく、スポーツカーの健全な我儘さがにじみ出ている。ドアロックを解除すると、たたまれていたサイドミラーが定位置につき、ドアハンドルが滑らかな表面のドアから、お手をどうぞとばかりに出現する。そのフォルムといい角度といい、下側から三本の指をそっとそえるという正しい開け方を促してくる。硬めのシート&シートバックに身をおいてイグニションをオンにすると、エンジンの彷徨とともに、ダッシュボード中央にあるエアコンの吹き出し口が立ち上がる。まるでスタートのための儀式のようだ。

速度計よりもだんぜん大きな数字で示されたタコメータの数字が視界に入ることを確認しながら走り出す。そしてアクティブ・エグゾースト・システムをオンにすると、いきなり、ここはサーキットか? というようなけたたましい音が車内に反響する。自らのアクセル操作のラフさがバレバレになること間違いなく、かなり冷や汗ものである。踏んだときは地鳴りのように吼えるエンジンは、アクセルを離せば、これまた、カリカリカリ! という、絶対、一般道では聞かない音が響きわたる。どこよ、ここ? サーキットのピットロードか? 音の演出にさんざん舞い上がって気分はむちゃむちゃ高揚するけれど、気づけばそれらはすべて、50km/h以下で体験できている。速度は低くとも満足感は120%。本物ってそんなものかもしれない。

圧巻なのは、ブレーキの強さだ。ブレーキを踏んだときの減速Gたるや、すさまじい。やっぱりスポーツカーたるもの、速く走る条件は、きちんと止まること。正統派のデザインに包まれ、ひたすら音に酔い、ブレーキにひれふす気分である。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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