【メルセデスベンツ Cクラス 試乗】C180 アバンギャルド AMGライン、ライバル&上級クラスを脅かす…青山尚暉

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ・Cクラス
メルセデスベンツ・Cクラス 全 17 枚 拡大写真

新型『Cクラス』は『Eクラス』『Sクラス』の先端技術を惜しみなく投入している点がハイライトのひとつ。今回はC180 アバンギャルド AMGラインに試乗した。

例えばヘッドアップディスプレイやスマホ感覚でナビなどを操作できるタッチパッド付きコマンダー、そしてレーダーセーフティパッケージに代表される先進安全・運転支援システムなどである。

ボディーは先代よりわずかに大きくなった。先代はライバルよりややコンパクト。 結果的に新型のサイズはやっとライバル並みに…ということだ。

エクステリアの特徴は大型スリー・ポインテッド・スターを備えるアバンギャルド 系の顔つきに統一。ロングノーズかつ低全高のスタイリングはEクラス並みの存在 感をたたえ、リヤ部分はSクラスを彷彿させるデザインだ。なお、空気抵抗係数=CD値は0.24とクラス最良である。

インテリアはライバルを大きくリードしたと言える。デザイン、ディティール、素 材、先進性そのすべてが完ぺき。タブレット感覚の8.4インチモニター(ナビ標準 ) 、2眼メーター中央の大型カラー液晶ディスプレー、あらゆる操作系、精密なス テッチ、1枚板のセンターコンソールパネル、エレガントなアナログ時計など、先進感と高級感が見事に融合し、プレミアム感、高級感は飛躍的に高まった。

後席の居住性も向上している。ニースペースは20mmの拡大とのアナウンスだが、 しかし実際にはそれ以上に広くなった印象を受ける。身長172cmの私のドライビングポジション基準で頭上に95mmはともかく、ひざ回りにはEクラス同等の220mmものスペースが備わっているのだ!

北海道は女満別~美幌峠で試乗したのはC180アバンギャルド AMGライン( 7AT、156ps、25.5kg-m、17.3km/リットル)。スポーツサスペンション& 18インチのAMGホイール、Cクラス初採用のランフラットタイヤ、AMGデザインボディーパーツなどがおごられる仕様である。

その乗り味は上質なスポーティーセダンそのものだ。C180 アバンギャルド AMGラインはアジリティ・キャラをとくに際立たせた仕様らしく、乗り心地ははっきり言って硬めだが(角は丸い)、スポーティーで低重心感覚かつフラット感が際立つ。山道などでの姿勢変化は最小限。パワステはドシリとした座り感があると同時に初期応答性に優れ、切る、戻すのどちらの方向でも無類のスムーズさと安心感が保証されている。そう、クルマを手足のように操れる感覚である。そして素晴らしく静かだ。

だから美幌峠では驚異的な安定感とライントレース性を披露し、爽快(そうかい)なドライビングプレジャーを味わうことができた。

1.8リットルターボはもっとずっと大きなエンジンを余裕で回しているような感覚、性能だ。わずか1200回転から最大トルクを発揮し、特に高回転型ではないものの、車格に十二分な資質、性能の持ち主といえる。実は、このあと乗った 2リットルターボエンジンを積む「C200」と日常シーンでそう大きな性能差を感じられなかったのも本当だ。

ちなみに最小回転半径は5.1mとコンパクトカー並みに小回りが利く(BMW『3シリーズ』が5.4m、アウディ『A4』は5.5m)から、先代よりボディサイズがやや拡大しても扱いやすさは抜群だ。Uターンや狭い道の走行はもちろん、駐車時、幅寄せ時にも威力を発揮する。

そうそう、ATセレクター左側には「コンフォート」「エコ」「スポーツ」「スポーツ+」の4つのモードを持つアジリティセレクト(アクセルレスポンス、ATの変速ポイント、ステアリングやサスペンション特性などを可変)を備え、それぞれ明確な変化を示す。4種類の”性能”を自在に選べるわけだが、「コンフォート」のままでも十二分にスポーティーな走りが楽しめたのだから恐れ入る。

そうした内外装、装備の完ぺきさ、走りの完成度の驚異的な高さからすると、419 万円~という先代からの価格アップを抑えたC180セダンの戦略的プライスは 、輸入セダンのライバルや国産400万円級セダンにとって脅威となることは間違いないだろう。

ただし、乗り心地を重視するなら同じランフラットタイヤでもより快適方向の17インチタイヤ、ノーマルサスペンションの標準車がいいかもしれない。それでもアジリティという点で大いに満足できると思う。

それにしてもCクラスをここまでよくしてどうする!! なんて思わずにいられないが、それは今では『Aクラス』『Bクラス』というFWDの下位2モデルがあるからこそだ。

新型Cクラスは荷室、後席居住空間ともに拡大し、後席に大型犬を乗せることだって可能だが、このあとステーションワゴンの登場も予定されているから、ワゴン派 、愛犬家はしばし、決断保留ということになるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、ドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

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