JAXA、大気球で微小重力環境を作る実験が無事終了

宇宙 科学
ISAS 宇宙科学研究所で公開された大気球の30分の1の模型。食品用ラップフィルムよりさらに薄い、厚さ20ミクロンのポリエチレン製の気球にヘリウムガスを入れて飛翔する。高度30キロメートル以上の高高度を飛ぶことができる。
ISAS 宇宙科学研究所で公開された大気球の30分の1の模型。食品用ラップフィルムよりさらに薄い、厚さ20ミクロンのポリエチレン製の気球にヘリウムガスを入れて飛翔する。高度30キロメートル以上の高高度を飛ぶことができる。 全 1 枚 拡大写真

JAXA 宇宙航空研究開発機構は8月22日、平成26年度第一次気球実験の1号機を北海道・大樹航空宇宙実験場より放球し実験は予定どおりに行われたと発表した。

ISAS(宇宙科学研究所)の大気球実験は、飛行機より高く、人工衛星よりも低い高度に長時間にわたり滞在できる唯一の飛翔体である科学観測用大気球を用いて行われ、2008年度からは北海道大樹町にある大樹航空宇宙実験場で実施されている。

2014年度は、5月14日から6月30日まで平成26年度第一次気球実験を3題目予定していたものの気象条件のため、予定期間に実験を実施できなかった。日程を8月21日から9月13日にあらため、実験番号「B14-01 微小重力実験:大気球を利用した微小重力実験(燃焼実験)」のみの実施としたものだ。

8月22日午前4 時27 分に行われたB14-01実験では、満膨張体積30万立方m(直径91m)の大型気球は毎分およそ300mの速度で上昇した。放球から2時間35分後に大樹航空宇宙実験場東方約40kmの太平洋上で、高度38.6kmで水平浮遊状態に入った。午前7時12分に指令電波が送信され、微小重力実験機体を気球から切り離した。微小重力実験終了後、機体はパラシュートを自動で開傘させ無事に緩やかに降下した。気球および制御機器部は、機体切離しから5分後の午前7時17分に指令電波により切り離され、海上に緩やかに降下した。気球を含む実験機器は、大樹航空宇宙実験場東方約35kmの海上に着水し、午前9時00分までに回収用ヘリコプター及び回収船によって回収された。

今回の実験は、微小重力環境を用いて燃焼現象を解明することを目的としており、約30秒間微小重力環境を得ることができたという。燃焼実験の様子を高速度カメラで撮像に成功している。この成果は、今後はエンジンの効率向上など省エネ技術に役立つという。また、高高度から実験機を落下させて微小重力実験環境を確保する技術の実証にもつながっている。本実験で平成26年度第一次気球実験は終了となる。

《秋山 文野》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  3. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  4. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  5. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
ランキングをもっと見る