若田宇宙飛行士となでしこジャパン佐々木監督、リーダーシップを語る

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若田宇宙飛行士、佐々木監督はリーダーシップに共通する部分があるよう
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8月22日に開催された、日本初の国際宇宙ステーション(ISS)コマンダー若田光一宇宙飛行士のミッション報告会では、ゲストにサッカー日本女子代表 佐々木則夫監督が登場。リーダーシップについて語った。

東京・浅草公会堂で開催された『若田光一宇宙飛行士 国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会 「聞く」「任せる」「実践する」若田船長の仕事術』後半では、作家・エッセイストの阿川佐和子氏がMCをつとめ、若田宇宙飛行士と佐々木監督に宇宙とスポーツ、それぞれの場でのリーダシップについて語る会となった。

スポーツの世界でのリーダーシップについて、佐々木監督は「話しかけにくい、壁をつくる傾向がスポーツ監督には多いが、(佐々木監督自身は)日ごろから雰囲気を広げて、選手の話を聞こうと思っていることを伝えるようにしている。対話が重要。その意味では、若田さんは鎧を着た感のない、コミュニケーションのうまいリーダーに思える」と二人は同型のリーダーシップを目指しているようだ。

日頃から「宇宙飛行士だけでは宇宙の仕事は成り立たない。コマンダーの仕事は、地上の管制官・スタッフとクルーとをつなぐ中間管理職」と述べている若田宇宙飛行士には、「中間管理職のお悩み相談」をテーマにネットで質問が寄せられた。「部下の手柄は横取り、失敗の責任は部下に押し付ける、そういう困った上司はいますか?」との質問に、若田宇宙飛行士は「そういう人はどこの世界にもいらっしゃるのじゃないですか。そういう雰囲気の方と仕事したこともありますね」、佐々木監督は「サッカーの世界にもいますいます。そういう上司をみたら、自分は真似をしないことですね」と答えた。その上で、困った上司へ部下の不満が鬱積した場合には、佐々木監督は「飲み屋に行きます」と伝統的手法を回答。若田宇宙飛行士は「宇宙では飲みに行けないですから、食べるしかない。おいしいものが食べられないととてもきついのです。宇宙食の中には、宇宙飛行士が好みのものを選ぶボーナス食という食事があるのですが、ISS補給船の到着が遅れてアメリカ人クルーのボーナス食がなくなってしまったことがありました。そういう場合、コマンダーとして別の補給船で打ち上げるよう調整をする。そういう気遣いが分かったときに得られる信頼が大きいのです」とリーダーの権限を持っているからこそできる気遣いを紹介した。

「やる気のない、ダメな部下の伸ばし方は?」との質問に佐々木監督は「誰でもダメな人というよりは、強みと弱みを持っているのが普通です。それを何とかしなくてはならないと思っているのですが、あまり弱みばかり指摘しすぎると、相手はその言葉をシャットダウンして聞かくなってしまいます。良いところをほめつつ、忠告の形で褒め言葉2、忠告1くらいのバランスだと聞いてもらえますね」とのこと。若田宇宙飛行士は、スペースシャトル時代にまだ”新人”だった若田宇宙飛行士を信頼してロボットアームなどの作業を任せてくれ、尊敬する宇宙飛行士だというNASAのブライアン・ダフィー船長の名を挙げ「信頼して、仕事を任せられたときの嬉しさは自信につながります。その人の力が足りないところには、支援の人やバックアップをしつつ任せていくことが相手の向上になると思いますよ」と経験を元に語った。

最後に若田宇宙飛行士は、日本の現役宇宙飛行士8人を紹介。次の日本人のコマンダーは「いつ指名されてもおかしくない」という。会場には、2015年にISS長期滞在を行う油井亀美也宇宙飛行士が筑波での訓練後に駆けつけていたといい、若田宇宙飛行士が実践した和のリーダーシップは、日本人宇宙飛行士と支える人たちにも信頼を勝ち得ている。

《秋山 文野》

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