東京都、都心と臨海副都心結ぶ中量交通を整備へ

鉄道 行政
東京都は都心と臨海副都心を結ぶ中量交通システムをオリンピック開催前に導入すると発表した。写真は空から見た東京港。
東京都は都心と臨海副都心を結ぶ中量交通システムをオリンピック開催前に導入すると発表した。写真は空から見た東京港。 全 3 枚 拡大写真

東京都都市整備局は8月29日、「都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する基本方針」を取りまとめたと発表した。工事中の都道環状2号線(環二通り)を中心にバス高速輸送システム(BRT)などの中規模交通機関を整備し、2019年度内の運行開始を目指す。

基本方針によると、東京都心部から約6km圏内に位置する勝どき・晴海・豊洲・臨海副都心などの地区は、ビジネスイベント(MICE)の誘致や住宅地開発など「新たな東京の顔としての発展が期待されている地区」となっている。既に住宅地や業務・商業の複合開発が進行しているほか、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの選手村が晴海地区に整備される予定で、住宅などの後利用も見込まれている。

その一方、これらの地域の交通手段はバスへの依存度が高く、鉄道へのアクセスが不便な地域があるとともに、一部の鉄道駅ではラッシュ時の混雑が生じている。こうしたことから基本方針は、都心と臨海副都心を結ぶ公共交通を早期に整備する必要があると指摘。環二通りを中心に「中規模な交通機関(BRT等)」の整備に向けた具体的な検討を始めるとしている。使用する車両については、都が進めている「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」などの取組みと連携し、新技術の導入を積極的に進めるとしている。

今後、都は9月10日まで事業協力者の公募を実施し、10月下旬には事業協力者を選定する予定。機種の選定や運行・施設・料金などのサービスレベルを事業協力者とともに検討し、基本計画の策定(2015年3月末)や関係機関との調整を行う。2015年度には事業者を選定して事業計画を取りまとめ、2017年度頃からインフラ整備工事に着手。東京オリンピック・パラリンピックの開催に間に合わせるため2019年度内に運行を開始し、2020年度以降の本格運行を目指す。

東京都が今回取りまとめた基本方針は、中央区のBRT構想を中央区外まで拡大させるものといえる。同区が2013年5月にまとめた「基幹的交通システム導入の基本的考え方」などによると、ルートは有楽町付近から晴海トリトンスクエア付近までの約4km。このうち銀座5丁目付近からトリトンスクエア付近までを初期整備区間とし、環二通りなどにバス専用車線(専用レーン)を設ける。機種は初期段階においてBRTを採用し、最終的には「次世代型路面電車」と呼ばれる軽量軌道交通(LRT)に転換するものとしている。

都の基本方針は「(中央区によるBRT・LRTの)検討も踏まえ、同区と連携して進めていきます」としており、今後は晴海地区から臨海副都心地区までの区間など、中央区外のルートも含めた総合的な検討を都が中心になって進めていくとみられる。一方、BRTの中核的な施策である専用走行路の確保について、都の舛添要一知事は8月29日の記者会見で「これから詳細を詰めていく」「現実に動かしながら考えていきたい」などとして明言を避けており、専用レーンの確保は限定的になる可能性もありそうだ。

《草町義和》

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