日本の二輪車は世界をリードできるか!? 4メーカーがデザインワークショップを開催

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二輪デザイン公開講座
二輪デザイン公開講座 全 12 枚 拡大写真

去る8月24日に大学1、2年生を対象にしたデザインワークショップ「二輪デザイン公開講座」が開催された。主催は自動車技術会・デザイン部門委員会で、昨年に引き続いての開催となる。

モーターサイクルを手がけるホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4メーカーのデザイン部を中心としたスタッフが実行メンバーとして参加。会場となったのは浜松市にある静岡文化芸術大学。

プログラムのうち座学の「デザイン公開講座」と、デザインワークのデモンストレーションを観覧する「プロの仕事講座」は一般にも公開され、教室が満員となる盛況を見せた。

「デザイン公開講座」では、長岡造形大学の斉藤和彦・教授が「世界のバイクデザイン」という題で日本のモーターサイクル産業を解説。モーターサイクル世界販売台数の半分近くが日系ブランドであることや、日本勢が圧倒的な強さを見せるASEAN地域の市場ポテンシャル、インドが生産と輸出の拠点として急成長していることなどが紹介された。

また「社会の変化とバイクの歴史」と題された川崎重工モーターサイクル&エンジンカンパニーの木村徹・チーフリエゾンオフィサーの講演では、自動車と同じくらいの長い歴史を持つ商品であることや、社会の価値観の変化に合わせてモーターサイクルのデザインも変化してきたことが解説された。

その後のトークセッションでは、4メーカーの現役デザイナーが日々の仕事内容やエピソードを紹介。登壇者は片岡敬子(本田技術研究所二輪R&Dセンター)、野口浩稔(ヤマハ発動機デザイン本部)、吉川友章(スズキデザイン課)、河内薫(川崎重工業デザイン部)。

また「プロの仕事講座」ではスケッチやクレイモデルの作業だけでなく、カラーリングやグラフィックのデザインも紹介。学生たちはその重要性や実際の手順の説明に聞き入ったり、熱心にメモを取ったりしていた。25日は学生たちが実際にデザインワークを体験できる「養成講座」(非公開)が開催されている。

世界ではモーターサイクルが先進国・新興国を問わず「個人移動手段のひとつ」として浸透している。しかし日本では「実用性の低い、趣味の乗り物」として認識されることが多く、こうした日本特有の事情が人材確保を難しくしているという問題意識が、イベント開催の背景にあるようだ。

実行メンバーたちからは、日本のモーターサイクル産業を盛り上げようとする気概と、学生たちに期待する声が多く聞かれた。昨年は、それまでまったく興味を持っていなかったのに、受講後は二輪免許を取得した学生もいたという。

モーターサイクルは日本が世界に誇れる産業のひとつだ。今後もこの座を守るだけでなく、世界のトレンドをリードできるデザイナーが輩出されることを期待したい。

《古庄 速人》

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