BMWの分類上“Xモデル”の一員で『X6』に次ぐスポーツ・アクティビティ・クーペとして登場の『X4』。昨今ラインアップ拡充が著しいBMWの新顔、である。
現状で奇数モデルに対しその派生・上級発展型の位置づけなのが偶数モデル。だから『X3』の発展型がこの『X4』だ。ところが今は『4』のグランクーペと『3』のグランツーリスモがあり、5ドアハッチバックだけで3タイプが揃うこととなった。ややこしいが、今回の『X4』はさすがに全高(1625mm)がもっとも高く、よってSUV風味の仕立てが基本という理解のしかたがよさそうだ。
印象的なのは上位モデルのあの『X6』より実用性に振っている…という点。とくに後席に乗り込んだら、頭上の余裕を始め、あの押し込められた感のある『X6』よりむしろゆとりが実感できた。スタイリッシュ狙いだがパッケージングは単なる“縮小コピー”ではないことがわかる。
試乗車は2リットルの4気筒ツインパワーターボ(245ps/35.7kg-m)搭載の「xDrive28i」。試乗車個体の状態で6気筒に対し前軸重の差が30kgで、当初、車重の差が案外と少ないとの印象をもった。が、実際に試乗してみれば、動力性能は十分で、軽々と回りながら、ワインディングでも十分にその役をこなしてくれた。身のこなし、乗り味も良好で、セオリーどおりにスムースに走らせる限りラインの上を気持ちよく走る。245/40R19サイズのミシュラン・プライマシー3ZPの乗り味もこなれており、ランフラットながら、音や振動の吸収が巧みで、キチンとした接地感を伝えてくれるのもいいところ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。