宇宙業界で働く女性の現状…JAXA講演会に山崎直子宇宙飛行士ら登壇

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宇宙業界で働く女性の現状…JAXA講演会に山崎直子宇宙飛行士ら登壇
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2014年9月11日、JAXA 宇宙航空研究開発機構は宇宙業界での女性の就労についての講演会を開催。JAXAでの女性の就労支援についての取り組みの紹介や、宇宙飛行士 山崎直子さんがNASAでの家庭支援の経験を語った。

三菱みなと未来技術館にて開催されたJAXA 宇宙航空研究開発機構主催による講演会「女性が開く宇宙航空の夢と未来」では、宇宙開発の分野で働く女性5人が登壇。JAXAでの男女共同参画への取り組みや、女性の宇宙エンジニアが直面する就労環境、女性が活躍できる宇宙に関する国際機関への参加について語った。

初めに、日本で専門性の高い職業に就労する女性の現状について、内閣府男女共同参画局長の武川恵子氏が紹介。先進国9カ国の中で研究者に女性が占める割合は、日本は14.4%と非常に低いという。1位のロシア(41.2%)から比べて低いだけでなく、現在は日本より上位にある韓国(17.3%)に数年前に逆転されている。日本では多くの女性が高等教育を受けており、その割合では他の先進国と遜色ないにもかかわらず、長期的に研究・開発分野に就労していない現状が示された。

こうした日本の状況の中で、JAXAの現状と取り組みをJAXAから塩満典子 男女共同参画推進室長が紹介。JAXAの常勤職員に占める女性の割合は全体で18%だとのことだが、研究者に占める女性の割合はまだまだ少ないという。出産や育児といった状況を女性研究者の周囲がなかなか理解できなかったり、ロケットや衛星の追跡管制など、長時間のシフト勤務が発生する職務では保育などの費用の個人負担を多く強いられる状況があるとのことだ。事業所によっては、周辺の環境が保育園の待機児童の多い、子育てには恵まれない環境の場合もある。女性研究者へのアンケート調査では、個々の研究者を支援するよりも、所属するチームへの支援を期待する声が大きいという。

宇宙を職場とする女性の中でも、訓練やミッションに長い時間を必要とするのが宇宙飛行士。宇宙飛行士の山崎直子さんは、NASAでは保育サービスでも公的・私的なサービス共に十分受けることができると、子育て期間中に訓練を受け、スペースシャトルで国際宇宙ステーションへのフライトに臨んだ経験を語った。また、NASAの中には職員の家族問題へ支援を行うファミリーサポート関係の部署があり、育児だけでなく家庭環境全般について相談できるという。家庭の問題を相談することで不利な評価を受けるのでは、と心配する職員も多いとのこと、相談は匿名性を保って取り扱われると話した。

塩満室長によれば、事業所の中で最も規模の大きい筑波宇宙センターには、2012年に「ほしのこ保育園」が開設されるなど、JAXAでも女性の就労環境の改善が始まっている。今後は、子育てや介護による離職をゼロにする、管理職の女性割合を現状の5%から10%へ引き上げるなどの数値目標も持って活動していくとのことだ。

《秋山 文野》

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