【スズキ ワゴンR 試乗】静かで再始動ショックなし、抜群に快適なアイドリングストップ

自動車 ニューモデル 新型車
『S-エネチャージ』を新搭載したワゴンRスティングレー
『S-エネチャージ』を新搭載したワゴンRスティングレー 全 11 枚 拡大写真

モーターのアシストで加速時の無駄な燃料消費を抑える「S-エネチャージ」が『ワゴンR』シリーズに新搭載された。短い試乗では具体的な燃費効果を知る由もないが、その試乗を通してすぐにわかったのは今までにないスムーズで快適なアイドリングストップシステムであったことだ。

これまでアイドリングストップに対して、信号待ちなどで発生する無駄な燃料消費をなくす効果はあるという認識はあった。しかし、アイドリングストップ後に発進しようとすると必ずスターターの音がし、車種によってはその際のフリクションが大きく不快に感じることさえあった。しかも夏場はエアコンのコンプレッサーが回らなくなるから吹き出し口からはすぐに温い風が送られてくる。これが嫌でアイドリングストップ機能をOFFにすることも少なくなかった。

そんな中、アイドリングストップは着実な進化を遂げて来た。まず、アイドリングストップによってエアコンが温くなる問題。これは、スズキが「エネチャージ」を発表と同時に2012年に採用した「エコクール」が効果をもたらした。「パラフィン」を蓄冷材として、エアコンのエバポレーター(蒸発装置)のチューブ間に挟むことで、60秒間はエンジンの再始動なしに冷気を送れるようになったのだ。これによって、エンジン停止時間を大幅に増やすことができる。

そして今回。「S-エネチャージ」では、発電機であるジェネレーター内に小さめのモーターを内蔵する新たなISGを搭載。このISGはアイドリングストップ時のスターターとしての役割を果たすほか、加速時にはモーターとしてアシストまで行う。実はエンジンが冷えているときはそれなりのパワーが必要とするため、従来通りセルモーターによるスターター機能は使わざるを得ない。しかし、エンジンが暖まればそれほどのパワーは必要としなくなるため、小さめのモーターがあればいい。その役割を果たすのが「S-エネチャージ」に搭載されたISGなのだ。

このISGはエンジンとベルトによって結ばれており、そのおかげで“キュルル”というギアを噛む音なしでエンジンが再始動できる。ブレーキから足を離すとISGがほとんど音もなくエンジンの回転を高めて再始動させるのだ。試乗してそれを確かめたが、本当に耳を澄まさないと音は聞こえないほど。会話でもしていたらまったく気付かないだろう。それほど静かに再始動できるのだ。

「S-エネチャージ」に搭載されたアイドリングストップの魅力はそれにどどまらない。これまでのアイドリングストップでは、ブレーキペダルを踏んでいる足の力が緩んだだけでエンジン始動を発生させてしまうことがあった。これでは低燃費のためのアイドリングストップとして役立たないことになる。そこで、ブレーキペダルにセンサーを採用し、アイドリングストップ中に一定位置まで戻らなければエンジンが再始動しないようにした。

さらに、アイドリングストップは車速13km/h以下で作動すると同時に、再びアイドリングストップが可能となる速度条件も大幅に引き下げている。エンジンが再始動した場合でも、ほんの少し時速1kmまで走れば、再びアイドリングストップが可能となっているのだ。これも静かに再始動ができるISGの採用があったからこそ実現したことなのだ。

「S-エネチャージ」はこれらの相乗効果で燃費向上に大きく貢献する軽初のシステムとして登場した。しかも空調も快適のまま過ごせるのだから有り難いことこの上ない。「S-エネチャージ」搭載車に乗れば、アイドリングストップの快適さに改めて多くの人が驚くことだろう。

《会田肇》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る