電子線照射で物性を改質、CFRP生産も効率的に

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電子線でエポキシ樹脂を硬化させたCFRP。樹脂の含有量を減らす工夫さえできれば、ドライカーボン並みの強度のCFRPを効率良く生産することも可能になってくる
電子線でエポキシ樹脂を硬化させたCFRP。樹脂の含有量を減らす工夫さえできれば、ドライカーボン並みの強度のCFRPを効率良く生産することも可能になってくる 全 4 枚 拡大写真

福島の原発事故以来、放射線は危険で有害な物質という印象が広まっているが、生活に役立っている放射線は結構多い。ジャガイモなどの発芽を抑えるためや、医療での利用はよく知られたところ。先端素材と技術の複合展「N+(エヌプラス)」で、放射線を利用するメリットは数多くあるとアピールしていたのが原子燃料工業だ。

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同社は微弱な放射線である電子線を照射することで対象物を滅菌や改質するサービスを行っている。電子線を照射することで重合、硬化する性質のものと分解する性質のものがあり、それらを利用することで様々な製品を効率的かつ安全に作り出すことが可能だと言う。

例えばCFRPの成型に使われるエポキシ樹脂は、オートクレーブやオーブンを使い、長時間熱を加えて硬化させる必要があるが、電子線を照射すると数秒で固まってくれるため、大きな部材でも大型のオーブンなどを必要とせず、生産性を向上できるそうだ。これは航空機用など大型部品の生産ではコスト削減に非常に効果的だ。

その他、自動車関係ではタイヤも照射することによりゴムの結合が強まり、強度が高まるとのこと。電子部品などのワイヤーハーネスに使われる熱収縮チューブも、引っ張って広げたものを電子線で固定して製品にしているそうだ。

放射線を照射することで、その物体自体が放射性物質に変質してしまうのでは、と思うが、同社が用いている10MeVと言うエネルギー量では、そこまでの影響がなく、安全性には全く問題ないことが証明されているという。

段ボール箱に入ったままで、内部の物質を滅菌、改質できるのは電子線だけができる芸当。樹脂部品の採用が進むクルマにおいても、今後利用機会が増えていくことになりそうだ。

《高根英幸》

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