理研と東大の研究チーム、巨大ブラックホールが支配するAGNエンジンを解明

宇宙 科学
活動銀河核「NGC 3227」と巨大ブラックホール周辺の構造
活動銀河核「NGC 3227」と巨大ブラックホール周辺の構造 全 2 枚 拡大写真

理化学研究所と東京大学による共同研究グループは、巨大ブラックホールが支配する「AGN(活動銀河核)エンジン」を解明したと発表した。

宇宙に存在するほぼ全ての銀河の中心には、太陽の10万~10億倍の質量を持つ巨大なブラックホールが1個ずつ存在するといわれている。中には、激しくガスを吸い込むことで周辺がおもにX線や可視光で輝き、銀河中に存在する1000億個もの星の総量を上回るエネルギーを放射するものが存在し、これを「AGN」と呼ぶ。

ブラックホールに吸い込まれるガスの重力エネルギーが、効率よく放射エネルギーに変換される変換機構を、化学エネルギーを動力に変換する自動車エンジンになぞらえて「AGNエンジン」と呼んでいる。

今回、共同研究グループは、X線天文衛星「すざく」が観測した「NGC3227」というAGNの高品質X線データについて、X線の「放射量」と「個々のX線光子が持つエネルギー」の変動に着目してAGNエンジンを解析した。

この結果、巨大ブラックホールへのガスの流入量が少ない時には、放射量が小さくエネルギーが高めのX線で構成される成分が緩やかに変動する。一方で流入量がある境界を超えると、エネルギーが低めのX線で構成される別の成分が現れ、この成分によって放射量が増大するとともに、激しく変動し始めることが明らかになった。

AGNエンジンの中に異なる働きを担う2つの部分が存在し、吸い込まれるガスの量が少ない時には、そのうちの片側だけ。ガスの量が増えてくると両方が働き出すという、AGNエンジンの新しい機能や構造が示唆された。

今後、日本が2015年度に打ち上げる予定の次期X線天文衛星「ASTRO-H」による観測から、AGNエンジンの機能や構造がより詳細に分かると期待されるとしている。

今回の研究成果は、米国の科学雑誌「Astrophysical Journal」に掲載されるのに先立ち、オンライン版に掲載された。

《レスポンス編集部》

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