3.11から3年…被災地で今なお続く教育ボランティア

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スリーデイズ・プロジェクトのようす。大学生が単なる勉強スキルだけを教えるのではない。それぞれがこれまでの人生を語る場も設けられた
スリーデイズ・プロジェクトのようす。大学生が単なる勉強スキルだけを教えるのではない。それぞれがこれまでの人生を語る場も設けられた 全 5 枚 拡大写真

 「被災地を見に来るお客さんは減りましたね。前は随分いたけれど」岩手県釜石市のタクシー運転手はこう言った。今年9月のことだ。

 東日本大震災から3年がたつ今、被災地のニーズが見えにくくなるとともに復興ボランティアの数も減少の一途をたどっている。しかしそんな中でも活動を続ける人・団体は存在する。岩手県に所在する“E-patch”もそのひとつである。

 “E-patch”とはEmpowerment through Participation and Challengeの略称で、一般社団法人「子どものエンパワーメントいわて」(2011年10月17日設立)の愛称なのだという。

 代表理事を務める山本克彦氏の言葉を借りれば、E-patchのはじまりは「子どもたちが安心できる居場所づくり」だった。2011年3月11日に震災が起きてから、津波で家族、友人を失い、子どもたちの遊び場だった運動場は支援車両の駐車場や仮設住宅へ変わった。そんな中「子たちの心をケアしたい、どうか自分の夢をあきらめてほしくない」という想いからスタートされたそうだ。

 活動のミッションは“子どもたちの夢の描きなおし”。具体的には「学びの部屋」と呼ばれる学習支援活動(学校や仮設施設の場を借りて、子どもたちが勉強できる場所をつくる、また遠方からの大学生や留学生ボランティアを受け入れ、交流をはかる)を通じて、被災地の子どもたち、主に小中高生の学習意欲へとつながる自己肯定感を醸成することを目指している。

 人財面では地元教育関係者、引退した教員による日々の地道なボランティアが活動を支え、資金面では公益財団法人パナソニック教育財団・トヨタ財団などによる寄附がされている。そのほか文部科学省や陸前高田市教育委員会、米国JET同窓会などによるバックアップも受けている。

 ただ、活動を支えるのはこれらの団体からの労や資金だけではない。「支えている側が支えられている実感もある」と語るのはコーディネーターの浅石裕司氏。

 「E-patchを通じて、被災した子どもたちがもう一度元気になって、目標をもってくれたらいいな、と思ってやってきました。ただ、ぼく自身子どもたちをケアしているつもりが、逆に子どもたちから元気をもらえているところもあって。互いに良い関係ができていったんじゃないかな、と感じています」

 現在では従来コアとなっていた普段の学習に加え、多彩な教育プロジェクトが推進されている。岩手県内から都内まで大学生ボランティアと協働して行われる「スリーデイズ・プログラム」、JETプログラムとその同窓生と協働で英語検定対策を行う「英語の部屋」などもその一例。さらに今年は、選抜された生徒を対象に米国への短期留学も実行されている。

【被災地で学習支援】3.11から3年、今なお続く教育ボランティア

《北原梨津子》

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