【フォード エコスポーツ 試乗】適度な“中腰の態勢”と大らかな乗り味…二輪ジャーナリスト 和歌山利宏

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フォード・エコスポーツ
フォード・エコスポーツ 全 12 枚 拡大写真

フォード『エコスポーツ』は、『フィエスタ』と車体の基本を共用するSUVである。フィエスタとバイクにはその進化に共通するものがあると感じたが、実はそれはこのエコスポーツにも当てはまる。

【画像全12枚】

SUVとかクロスオーバータイプと呼ばれる四輪車は、現在、世界的に注目を集めている。車高が高くて、視界が良く、居住性も高く、また少々荒れた路面の走破性にも優れていて、日常用途にもレジャーにも使いやすいからだ。一方のバイクも、デュアルパーパス(語意はクロスオーバーに近い)とかアドベンチャーと呼ばれ、サスペンションストロークが大きく、オフロードバイクの要素を取り入れたモデルが人気だ。こうしたアドベンチャーも、四輪車のSUVに似た魅力を備えており、そこに人々の嗜好が反映されていると考えて自然である。

バイクに関しては、ここ近年で多様化し、さまざまなカテゴリーに発展。そのことで高度化し高性能化してきたが、反面、照準としたシチュエーションでしか、その性能を発揮できなくなってきた。多様化は単能化を生んできたのだ。そこで、かつてのバイクが持っていた万能性を、バランスよく高水準化させた形態がアドベンチャーであり、人々はそれを求めているのだと私は考えている。

四輪車の場合は、そこまで多様化が進んだわけではない。しかし、「A地点からB地点に速く移動できること」を大義名分にクルマは進化、そのために車高が低いことが美点ともされ、特に我が国では80年代まで、低さがカッコ良さのポイントでもあったと思う。でも、そんな低いクルマを悦に入って運転するお父さんに対し、低い車内に閉じ込められた子供たちはストレス一杯だったんじゃないだろうか。子供たちが大人になって自分でクルマに乗り始めたとき、もう低いクルマは懲り懲りというのが、SUV人気の背景にあると思えてならないのだが‥‥。

ともかく、エコスポーツの運転席に座ると、目の位置が程好いところにある。路面に這いつくばるでも、背伸びして不安定な思いをするわけでもなく、ちょうど中腰の態勢にあって、視界の良さと安定感が両立している。居住性にも余裕があるし、乗降も自然で、ストレスがない。

フィエスタで感じたほどシート座面前後長は過大でなく、シートは私にもフィット。フィエスタと同じステアリングホイールは、この手のクルマには小径にも思えるが、普通に使えるクルマとして適当で、気負わずに接することができる。ポジション調整機構もフィエスタ同様、充実していて、ちょうどいい位置にセット可能だ。

乗り味は、ステアリングレスポンス、ブレーキの効き味も含め、いい意味で微妙に大味。いや、大らかと表現するのが適当だろう。自然吸気の4気筒ユニットにも、クラマらしい普遍的な味わいがある。大きい路面の不整に対する吸収エネルギーを稼ぐためか、サスペンションは硬めだが、軽薄な硬さはない。また、高めの車高に関わらず、姿勢変化はローリングもピッチングも抑えられ、フラットな乗り味が保たれている。

こういうのも悪くはない。が、モーターサイクルジャーリストの私には、どうしても指摘させていただきたい不満な点がある。

一つは、DCT駆動のエンジンが半クラ状態をあまりにも多用することである。ゆっくり、おとなしく発進しても、有段変速であることを実感することが困難なほど、半クラが持続。2速にシフトアップされても、その状態が続く。マニュアルのSモードに切り換えても、変わらない。普通のクラッチ付きのマニュアル車なら1500rpmでクラッチミートしても、直結状態で走れそうなものなのに、それを許してくれない。Sモードが有効なのは3500rpm以上をキープできて、リズムカルに走れるワインディングだけである。バイク乗りの私は、スロットルワークに対するトラクションのダイレクト感を求めてしまうだけに、どうにもスッキリしないのである。その点で、フェイスタの3気筒ターボとは違い、DCTとの相性はいいとは言い難い。

もう一つは、太目のフロントピラーとフロントウィンド枠が視界を遮ることである。そのため、交差点で左前方が気になりがちで、車幅感も掴みにくいきらいがある。バイクではその方向が完璧に見渡せるだけに、より気になったのかもしれないが。

それはともかくエコスポーツは、乗っていてあくまでも普通のクルマである。やはり、こうした形態は、現在における普遍形なのかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

和歌山利宏|二輪ジャーナリスト
1954年生まれ、1975年にヤマハ発動機に入社し、様々なロードスポーツバイクの開発に携わり、テストライダーも務める。また、自らレース活動も行ない、鈴鹿8耐第5回大会では4位入賞の成績を持つ。現在は二輪ジャーナリストとして執筆活動、ライディングインストラクターなど多方面で活躍中。

《和歌山 利宏》

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