矢野経済研究所は、ASEAN主要6か国の自動車リサイクルに関する調査を実施。その結果を「ASEAN自動車リサイクルの実態と展望 2014年版」にまとめた。
調査は2014年6月から9月の期間、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナム、ミャンマーの官公庁、業界団体、新車ディーラー、中古車販売業者、中古部品販売業者、自動車整備業者、自動車解体業者等を対象に、同社専門研究員による直接面談、電話・Eメールによるヒアリング、文献調査を併用して行った。
本調査では、自動車リサイクルとして、使用済自動車発生台数を予測し、使用済自動車に含有される有価金属である、レアメタル(プラチナ、パラジウム、ロジウム)、およびベースメタル(鉄・合金、銅、鉛、アルミ)の発生量を予測する。
調査結果によると、2013年の主要6か国合計の使用済自動車発生台数は、42万2000台と推計。自動車の平均使用年数が長く、各国の新車販売台数は増加を続けているため、使用済自動車も増加していくことが見込まれる。また、2013年の使用済自動車に含有される有価金属量は、ベースメタル(鉄・合金、銅、鉛、アルミ)で34万3000トン、レアメタル(プラチナ、パラジウム、ロジウム)で531kgに達すると推計した。
2013年の主要6か国の全世界からの輸入中古部品市場規模は、中古部品の輸入が禁止されているインドネシア・ベトナム、また推計困難なミャンマーを除く3か国で約423億円と推計。内訳はマレーシアで約231億6000万円、続いてフィリピンが約98億9000万円、タイが約92億4000万円となっている。
使用済自動車の発生台数は、2020年までに2013年比約2.3倍の98万3000台に増加すると予測する。今後ASEAN各国で使用済自動車が増加していけば、輸入中古部品市場の縮小や、自動車解体に係る法整備の厳格化等が起こる可能性がある。また、2020年の使用済自動車から発生する有価金属は、ベースメタルで同約2.8倍の96万1000トン、レアメタルで約2.7倍の1416kgに達すると予測。今後は資源確保の点でも対策が必要となるとみている。