ZF傘下のザックス、電制サスを二輪のトレンドに

モーターサイクル 企業動向
ZF 二輪車用サスペンション工場
ZF 二輪車用サスペンション工場 全 18 枚 拡大写真

ドイツのサスペンションメーカーである「ザックス」は、ハブやボールベアリングなどの自転車部品製造業として1985年に創立、1929年には自動車のショックユニットやクラッチの製造開発にも着手し、サスペンションメーカーとしての地位を確立。現在、多くの欧州車、そして欧州現地生産の日本車にもOEM製品として採用されている。

ザックスは、2001年から世界122か所に生産拠点を持ち、7万5000人の従業員を抱える、ドイツの自動車関連部品サプライヤーの「ZFフリードリヒスハーフェン」グループに加わり、ZFの傘下として新たな発展を見せている。

そんなザックスが近年、牽引しているトレンドが、セミアクティブサスペンションだ。「CDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール=減衰力連続可変制御)」と名付けられた電子制御サスペンションは、加速度センサーもしくはストロークセンサーから前後サスの動きを検知、さらに、車輌の加速度や速度、ブレーキ液圧などから最適の減衰力を算出し、減衰力を1000分の1秒単位で制御する。

四輪車の分野では、2009年以降、プレミアム車に投入され始め、2014年型の『シビックツアラー』には普及型の後輪一軸CDCを装着し、ベーシックカーへ普及。そして、2013年以降はモーターサイクルへの採用も増え、BMW『HP4』(『S1000RR』ベースのスーパースポーツモデル)を皮切りに、ドゥカティ『ムルティストラーダ1200S』、BMW『R1200GS』、『S1000R』、アプリリア『カポノルド1200』と採用が進んでいる。

上級型への付加価値を高め、ハンドリング向上にも貢献。また、後発になるほど開発が進行していることも事実で、カポノルドでは電子式車高調整機構に、リアの高さを検知し自動的にプリロードを調整して車高を最適値に保つ自動調整が装備されている。CDC開発責任者のブルクハルド・ベンダー氏によると、この自動車高調整機構を発展させ、プリロードのみならずバネ特性も可変とするシステムを開発中なのだそうだ。

走行中の減衰力を絶えず最適化させていくためのバルブ機構は、下側は一般的なダンパーのピストンバルブと構造は同様だが、上部2/3ほどのスペースにプロポーショナルバルブ(比例制御電磁バルブ)が設けられる。ニードルバルブを押すスプリングを囲むアンカーが、外側のコイルの磁力を受け、実効スプリング力を変化させ、減衰力を調整していく。

CDCの生産は、イタリアのトリノ郊外、カンディオーロの工場で行われている。品質管理も徹底されているが、人の手によるものだけに、作業者の意識を高める取り組みがみえた。

《和歌山 利宏》

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