【スバル レガシィ 新型発表】Hi-Fiオーディオが『マッキントッシュ』から『ハーマンカードン』になった理由とは?

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7型ナビは『ハーマンカードン』サウンドシステムとセットオプションとなる
7型ナビは『ハーマンカードン』サウンドシステムとセットオプションとなる 全 8 枚 拡大写真

伝統的にHi-Fiオーディオ『マッキントッシュ』が採用されてきた『レガシィ』。10月24日登場した新型にも搭載が期待されていたが、そのブランドはこれまでとは違う『ハーマンカードン』のサウンドシステムだった。今回のブランド変更はいかなる理由だったのだろうか。

レガシィが最初にHi-Fiオーディオブランドを採用したのは1998年に登場した3代目(BE/BH系)で、この時から4代目(BL/BP系)、5代目(BM/BR系)とマッキントッシュブランドのサウンドシステムを継続して搭載してきた。開発を行ったのはクラリオンであったが、当時各社が採用していた純正Hi-Fiオーディオの中でも破格の評価を獲得。以来、「レガシィのオーディオと言えばマッキントッシュ」といった認識が定着していた。そんな中、6代目となった新型にはスバル初のハーマンカードンが採用されたのだ。

マッキントッシュもハーマンカードンもアメリカで誕生したオーディオメーカーで、それぞれにオーディオブランドとして多くのファンを魅了。当時、盛り上がっていたカーオーディオに相次いで参入した。とはいえ、“ホーム”と“カー”では製品スペックがまるで違う。“カー”は振動や熱対策が欠かせず、スピーカーには耐水処理も必要だ。これをクリアした上でないと搭載はできない。そこで、マッキントッシュは一時親会社となっていたクラリオンに、ハーマンカードンはグループ内のJBLによってその実力を高められてきたというわけだ。そんな中でのブランド変更した新型レガシィ。「何故?」と思う人も少なくないだろう。

しかし、理由は明確だ。単にクルマメーカーとしてのグループ分けに基づいた結果なのだ。2005年からトヨタが富士重工業の筆頭株主となって以来、スバルはトヨタグループ内にいるが、それ以前は別のグループに属していた。とくに最初にマッキントッシュを搭載した3代目(BE/BH系)が登場した時、スバルは日産グループにあり、その関係からグループ内のクラリオンから提供を受けてマッキントッシュブランドをスタートさせたという経緯がある。

その後、日産が経営不振から富士重工業の株をゼネラルモータース(GM)に売却。スバルを取り巻く情勢は大きく変化した。しかし、この時はとくにカーオーディオに対する縛りはなかったと予想される。逆に言えば、日産グループの縛りがなくなったことで、スバルはオーディオ系はクラリオンだけでなくケンウッドからも供給を受けていたし、ナビゲーションに至ってはケンウッドとの関係が深いトヨタグループのデンソーから供給を受けていたこともあったほど。

つまり、4代目~5代目あたりまでは、どの縛りもない状態でのオーディオやナビ系の開発が行えたということになる。しかし、今やスバルはトヨタから車両の共同開発や生産委託も受けているなど、完全にトヨタグループ内にいる。6代目はその中での開発となったわけで、部品の共通化も積極的に図る方向性が打ち出され、オーディオの分野もこの関係が重視されるのは自然の流れだったとも言える。そのブランドがハーマンカードンだったのだ。

トヨタはオーディオブランドとして長いこと、このオーディオを採用してきた。レクサスに搭載して来た『マークレビンソン』や、トヨタ車に搭載する『JBL』もこのグループに属するオーディオブランドである。カーオーディオを手掛けるブランドが数多くある中で、トヨタは頑なにHi-Fiブランドとしてこのグループにこだわってきた。一時、アメリカで販売されたレクサスLSに『ナカミチ』が採用された例ぐらいしか他社採用例は記憶にない。

数で勝るトヨタが採用してきたブランドを使えば、低コストでHi-Fiオーディオシステムの搭載が可能になる。新型レガシィに搭載されたシステムは、ハーマンカードンによれば“専用品”とのことだが、これは当然ながら今後のスバル車へと広がっていく可能性も小さくはない。これまでHi-Fiオーディオはマッキントッシュだけの採用だったスバルだったが、今後はこのハーマンカードンの採用を皮切りに他の車種へ広がるとも十分予想できる。今回の動きを契機にスバル車のオーディオシステム底上げにつながることを期待したい。

《会田肇》

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