トヨタ自動車が発売した新型ミニバン『エスクァイア』は、“上質なインテリア”を特徴のひとつとしている。質の高い素材や配色などを工夫し、高級感を演出することで個性を高めているが、機能にもオリジナルの点がある。普段は目立たない“3列目シート”にそれを発見した。
エスクァイアの3列目シートは折りたたみ式である。人を座らせることに加え“たたむ”という機能を付加すれば、シート本来の機能は、単体のシートに比べれば劣る。しかし同車の3列目シートは、座っても“違和感のない”作りとなっていた。
製品企画本部の水澗英紀チーフエンジニアは、「実は『ノア』『ヴォクシー』よりも座り心地を高めている」と語る。「シートには合皮を使用している。しかし、そのままでは固くなってしまうため、中のウレタンを専用とし、柔らかい座り心地を実現した」(水澗CE)。
シート設計は、トヨタ車体が担当した。内装設計部、シート設計室の荒木俊夫グループ長は設計のコンセプトについて「たとえばお年寄りと出かけるなど、このクラスのミニバンでは3列目シートを使う頻度が高い。なのに“座ってがっかり”というのは避けたかった。シート本来の機能は失ってはならない」と語る。
その機能については、「合皮を使用するとシートが平らになりがちだが、背があたる部分は柔らかくし、サイド部分は逆に硬度を上げることで、しっかりとしたホールド性を実現した」(荒木氏)と述べた。