【スバル レガシィ アウトバック 試乗】ツーリングワゴンの代わりを探すなら、これでしょ…中村孝仁

試乗記 国産車
スバル レガシィ アウトバック
スバル レガシィ アウトバック 全 32 枚 拡大写真

『レガシィ』のラインナップからはツーリングワゴンが消えた。代わりに『レヴォーク』が登場したわけだが、もし先代ツーリングワゴンの変りがお望みなら、案外こちらの方がお勧めである。

メーカーの話によれば、日本で使うにはレガシィは大きくなり過ぎて結果として小ぶりなレヴォークをその後継モデルに作り上げたわけだが、確かにボディは大きくなっている。しかし、確かにボディ幅で行けば60mmも大型化していて、物理的に車庫には入らないというユーザーもいるのだろうが、サイドミラーを含んだ車幅で行くと、実はそう大差ない。セダンで比べるとその差は18mmでしかないのである。

車高は確かに高い。それが嫌で『レガシィ アウトバック』ではなくツーリングワゴンというのならばそれは仕方がない。だが、乗ったフィーリングでは正統派『レガシィツーリングワゴン』の後継車はこちらではないかと思えてしまうのである。

新しい『レガシィB4』、アウトバックに込めたメーカーの思いは、情緒的価値の進化だそうだ。何を意味するかというと。デザインや動的質感の進化だそうである。つまり先代レガシィの持っていた良さはそのままに、動的に質感を上げ、見た目の質感を向上させたモデルが新しいレガシィであり、その延長線上にあるアウトバックなのである。だから、大きくなってはいても、レガシィの良さを引き継いだのはレヴォークではなくてこのアウトバックなのではないかと思うわけである。

グレードはノーマルの「アウトバック」、それに「アウトバック・リミテッド」の2種だ。両車の差は装備の違いもあるが、大きな違いはホイール/タイヤサイズの違いと、スタブレックスと名付けられたダンパーの採用である。このスタブレックスライドは18インチもタイヤ、つまりはリミテッドに装備されて、ノーマルにはつかない。実はここに大きな差が生まれていた。

実際ノーマル17インチホイールとノーマルダンパーの乗り味は、僅かだが65扁平率でタイヤハイトが高いこともあって、乗り心地優先で路面のあたりも非常に快適で優しい。これに対して、18インチとスタブレックスの組み合わせは、よりスポーティーでシャープな印象を受けるのである。

つまり、もしも先代のツーリングワゴンが持っていた、ワゴンにもかかわらずスポーティーな走りを所望するユーザーは、このリミテッドが受け皿として十分機能すると思えたわけだ。因みにスタブレックスとはスタビリティーとフレキシビリティーを組み合わせた造語だそうだ。簡単にいうと非線形性の減衰効果を持ったスタビライザーである。

アウトバックは地上高も高いから、当然素早い転舵におけるロールは大きい。したがって先代ツーリングワゴンとは直接の対比は出来ないが、車体剛性で67%も向上し、走りを進化させているからそのあたりも相殺されていると言っても過言ではない。そういえばステアリングのギア比も14:1と早くなっているのでシャープ感も増している。そうそう、タイヤも今回からはサマータイヤを装備してオールシーズンではなくなった分、走りのシャープさが増しているのかもしれない。

アウトバックらしく、林道なども時々走るというので有れば乗り心地の優しい17インチホイール装着車がお勧めだし、いや、オンロードがほとんどでシャープなハンドリングが欲しいというのなら18インチ&スタブレックスライドがお勧めである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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