【スバル WRX S4 試乗】買うならビルシュタイン採用の「GT-S」…松下宏

試乗記 国産車
スバル WRX S4
スバル WRX S4 全 11 枚 拡大写真

スバルは『WRX』を『インプレッサ』から独立させるとともに、スポーツモデルの「WRX STI」と幅広いユーザーに向けた「WRX S4」を設定した。いずれもWRXを名乗るが、エンジンもトランスミッションも違うものが搭載されている。

S4のベースは「インプレッサG4」だが、ボディサイズの数値は微妙に異なっていて、WRX S4には専用の設計が施された。

外観デザインは見るからにたくましい雰囲気でまとめられている。全体としてすっきりした印象のデザインだと思うが、ボンネットフード上の大きなエアインテークはWRXらしい部分であると同時に、やや古典的なイメージを与える部分である。

インテリアは基本的にはインプレッサと変わらない。メーターには赤い文字が使われ、スピードメーターが280km/hまで刻まれていることなどが相違点だ。またナビ&オーディオ回りの仕様にも違いがある。

S4を走らせてすぐに感じたのはボディのしっかり感だ。スバルの最新プラットホームが持つ素性の良さに加え、ボディの基本部分から前後のトレッド、ステアリングギアの取り付け部など、各部の剛性が強化されている。みしりともしない走りを見せるのは剛性の高さによるものだ。

ダイレクト感のあるステアリングフィールも好感が持てた。操舵(そうだ)の遅れを感じさせることなく、ハンドルを切った瞬間にクルマが向きを変えているような、そんな印象を与える機敏さである。それでいて、妙に敏感すぎて扱いにくいステアリングではないのが良いところだ。

この回頭性の良さはリヤサスの接地性の良さとトルクベクタリングによるものだ。普通ならアンダーステア傾向が出やすいAWD車であるにもかかわらず、後輪がきちんとグリップすることで優れた回頭性を実現する。

搭載エンジンはFA20型の水平対向4気筒2.0Lの直噴ターボ仕様(DIT)で、にレガシィやレヴォーグに搭載されているものと同じ。221kW/400N・mのパワー&トルクを発生し、スポーツ・リニアトロニックと組み合わされる。

パワートレーンに関しては特に新鮮な印象を与える部分はなく、『レヴォーグ』と共通と思っていい。リニアトロニックもCVTとしての限界はあるものの、その中で一定の進化を遂げ、より自然な感覚に近づいてきた。

今回は2.0GTアイサイトと2.0GT-Sアイサイトに試乗した。より好感が持てたのはビルシュタインのショックアブソーバーを採用したGT-Sだ。車両本体価格は350万円を超えるが、WRX S4を買うなら2.0GT-Sアイサイトを選びたい。

アイサイトは最新仕様のバージョン3が搭載されていた。これについては今回の試乗シーンでは詳しく試す機会がなかったが、レヴォーグでその効き目を確認している。追突軽減ブレーキとしての性能を高めたほか、レーンキープ機能なども加わっている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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