【熱気球ホンダグランプリ14】第5戦…紅葉に染まる晩秋の栃木で、世界最高峰の戦い

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熱気球ホンダグランプリ 第5戦 インターナショナルバルーンレース
熱気球ホンダグランプリ 第5戦 インターナショナルバルーンレース 全 15 枚 拡大写真

日本国内最大の熱気球競技シリーズ戦である熱気球ホンダグランプリ。11月24日に第5戦となるとちぎインターナショナルバルーンレースが5日間の競技日程を終え、2014年シーズンが閉幕した。

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今年のシーズン優勝チームはディフェンディングチャンピオンの「やずやバルーンチーム」。今年は序盤、調子を上げられないでいたが、今年7月にパイロットの藤田雄大選手がブラジルで行われた世界選手権で日本人初優勝の快挙を成し遂げた勢いを駆って、第3戦の鈴鹿以降、一気にポイントをリード。とちぎでも優勢に戦いを進め、2位を100ポイント以上上回るシーズン通算380ポイントを獲得してチャンピオンとなった。

2位は野上隆二選手が駆る「チーム ゼフィール」。第4戦佐賀終了時点で7位だったが、とちぎで逆転に成功。3位は上田諭選手のキメラの翼号が属する「エアロリバティーンズ」。4戦終了時点まで2位につけていたバルーン女子、倉橋朋子選手がパイロットを務める「アイリス・バルーンチーム」は惜しくも入賞はならなかった。

このホンダグランプリ第5戦とちぎインターナショナルバルーンレースは、熱気球競技としては最高レベルのカテゴリー1に認定された世界選手権を兼ねており、毎年名だたる世界ランカーが参戦する大会でもある。それだけに戦いもハイレベルだ。

「競技が行われる宇都宮市、芳賀町、茂木町あたりの空域は山、川が多く、風を読むのがとても難しい。ランキング上位の選手にとっても本当に飛び応えがあるんです。その難しさの一方、晩秋の栃木の山々は紅葉に染まり、川とのコントラストは実に美しい。06年の初開催で飛んだ選手から口コミで魅力が広まり、今では世界選手権のなかでも有名なレースのひとつに成長した」(町田耕造・熱気球運営機構代表)

世界から集まるバルーンレーサーがとくに魅力的と称賛するのは、茂木町のサーキット「ツインリンクもてぎ」を飛び立ち、山を越えて那珂川の谷風に乗り、ターゲットに向かうルート。ちょっとしたタイミングの差で風を捉えそこねると、ターゲットのほうに飛ぶことすらできなくなる。

それだけ難易度の高いルートであるにもかかわらず、競技気球の多くがあっさりと谷風を捉え、ターゲットに正確に飛んでいた。熱気球は推進力を持たず、できるのは球皮内の温度を調節して上昇、下降することだけ。風向が高度によって異なるのを利用することで気球の進路をコントロールするのだが、上位選手は離陸地点から遠く離れたターゲットに正確に寄せてきて、マーカーを投下する。風の状況がいいときには、数センチ単位での戦いが展開されるほどだ。

世界選手権で優勝を勝ち取ったのは、世界選手権優勝経験を持つ世界9位のベテランパイロット、ジョー・ハートシル選手。日本人最高位、世界4位の藤田雄大選手は僅差で2位。3位にはジョー・ハートシル選手の息子で世界ランキング50位のレット・ハートシル選手が食い込んだ。

「今年は日本人の世界選手権優勝者の輩出という、熱気球関係者が数十年にわたって悲願としてきた夢が叶った年。今でこそ多くのチームが当たり前のようにこの難しいレースを戦っていますが、06年の初開催の時は世界トップクラスの選手にやられるばかりだった。強豪のひとり、ドイツのウーヴェ・シュナイダー選手の後ろを飛んで何とか食い下がってやろうとしても、ふと気がつけば前に出されてしまったりと、妙技の前になすすべもなかったんですよ。それから10年足らずで日本人選手が世界に通用するようになってきた。冠スポンサーであるホンダはじめ、支援してくださった企業やボランティアの人たちに感謝したい」(町田氏)

世界ランカーの選手も魅せられるレースに成長したとちぎインターナショナルバルーンレースだが、開催は今年が最後。スポンサーであるホンダの意向もあり、来年は東北に舞台を移して行われることになる。

「もちろん東北での世界選手権もいいレースに成長させたい。ですが、せっかく世界から名レースとして認知されるようになったたとちぎをこのまま終わらせるつもりもない。世界選手権ではなくとも、多くの名選手をはじめ、熱気球ファンがいっぱい集まるようなエキジビジョンレースをやれないか一生懸命考えているところです」(町田氏)

来シーズンも春から5戦が行われる予定の熱気球ホンダグランプリ。ブラジルで世界選手権優勝を勝ち取った今年のタイトルホルダー、藤田雄大選手が来年も優位を保つのか、それとも強力なストッパーが現れるのか。関心のある人はぜひ、観戦無料の熱気球競技をぜひライブで見てみてほしい。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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