排気チューンで 86 / BRZ の馬力アップは体感できるか… HKS 車検対応マフラー

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トヨタ 86 HKS仕様
トヨタ 86 HKS仕様 全 24 枚 拡大写真

車の楽しみ方のひとつに、タイヤ、ブレーキ、マフラー、サスペンション、エアクリーナーなどを好みのパーツに交換するカスタマイズがある。万人向けに設計されたノーマルパーツを変更することで、特定の性能や特性をチューニングする。

しかし、パーツ交換やチューニングをすると車検が通らなくなるのでは、騒音や乗り心地が悪くなるのでは、といった心配があり、初心者は手を出しにくいかもしれない。近年のカスタマイズの傾向についてチューニングパーツの開発・販売を行う、HKS 自動車開発部 坂詰達也部長に聞いた。

◆マフラー交換は軽量化と加速向上にも貢献

実は、このような心配は「もはや過去のもの」と坂詰氏は話す。例えばチューニングパーツの代表ともいえるマフラー。昔は、ルックスを重視しテールパイプが太く、排気音が大きいものが好まれ、車検に対応しないものも少なくなかった。しかし、最近のトレンドは車検対応が基本であることはもちろん、アイドリング時や巡航走行では音を抑えることで、こもるような不快な音を排除し、踏み込んだとき高回転時に突き抜けるようなレーシーなサウンドを楽しめる製品が人気だそうだ。

通常の走行ではチューニングカーであることを主張しすぎず、加速時にはさりげなくノーマルとはひと味違った乾いた排気音を響かせてくれる。一例を挙げれば、HKSの「ハイパワー スペック L」(12万円・税別)はトヨタ『86』、スバル『BRZ』にそんな演出をしてくれるチューニングパーツだ。というと、音が変わるだけのように聞こえるかもしれないが、スペック Lはノーマルより排圧を50%ほど下げ、350psのフルチューンの86/BRZにも対応する性能を持っている。また、パイプやサイレンサーの重量もノーマルの半分ほどに抑えられており、車体の軽量化にも貢献する。取り付け時の最低地上高もノーマルと同等を維持するため、段差や悪路の走行でも必要以上に注意する必要はない。

マフラー交換だけでも、排気の抜けがよくなり音とともにスムーズな加速を体感できるが、もっと楽しみたいなら、排気管のフロントパイプ(エンジンブロックから触媒までの配管)交換とECUチューンを組み合わせることで10ps程度の馬力アップも可能だ。ECUチューンが必要なのは、排気系をフロントパイプから交換することによるマップの書き換えをしなければならないため。(昔のように)ROMだけを交換したり、ECUのユニットを交換するわけではないので、これらのチューニングを施しても車検は問題ない。

◆エンジンの欠点を補う性能アップも

フロントパイプを交換することで、エンジンのトルクカーブの微妙なクセを補正して、全域でのレスポンスを向上させることもできる。例えば86のエンジンは、3000rpmから4000rpmの間にちょっとしたトルクの落ち込みがある。排気系のチューニングによってこれをなくすことができるとのことだ。その違いは十分に体感可能なもので、同社が提供している『GTスーパーチャージャー プロキット』(38万円・税別)と組み合わせれば50~100psのパワーアップも可能だ。

さらに、スバルのボクサーサウンドにこだわりたいユーザーに向けては、BRZ用の不等長のエキゾーストマニフォールド(エキマニ)もラインナップされている。一昔前のボクサー4サウンドの代名詞であった「ドロドロ音」を楽しみたい人にはお勧めだ。

なお、HKSといえばターボチューンでも定評のあるメーカーだが、86/BRZでスーパーチャージャーにこだわったのは、「そのトルク特性が素性のよいFRに向いているから」(坂詰氏)だという。しかし、ターボチャージャーによるチューニングも考えていないわけではないようだ。「メーカーが、ベース車としてパフォーマンスが高い86/BRZのような車を出してきた以上、HKSとしても負けずに、これまでのチューニングノウハウを投入していきたい。往年の“AE86”(『カローラレビン』『スプリンタートレノ』)では4A-Gエンジンをボアアップした“5A-G”チューンなども流行ったが、こういった方向性も排除せず、さらなるチューニングを極めたい」(坂詰氏)とのことだ。

ここで紹介した取り組みのすべてが製品化、市販化されるわけではないが、1月9~11日に開催される東京オートサロン2015では、開発中の2ステージマフラー(回転数等で排気経路を切り替える機構を組み込んだマフラー)の発表を控えているようだ。年末にはスズキが『アルト」のターボモデルを復活させるというニュースも飛び込んできた。2015年はカスタマイズ市場が再び身近になる年になるかも知れない。大いに期待したいところだ。

《中尾真二》

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