めざすは日本のAMGか、ニスモのブランド化…パーツ、マーチャンダイズまで全方位で攻める

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日産 NISMO GT-R
日産 NISMO GT-R 全 26 枚 拡大写真

ブランド化を進めるニスモ

ニスモ、正式名称はニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社という。どうも認識不足だったが、僕個人は日産のモータースポーツ組織としか思っていなかった。確かに最近はニスモ・ブランドでスポーティーな仕様のモデルが登場しているが、それでもやはり、ニスモといえばレースと勝手に関連付けていたのである。

【画像全26枚】

ところが、今回ニスモの試乗会に参加させてもらって、改めてニスモという会社が全く異なる方向性を持つべく動き出していることに気づかされた。勿論これまで通り、レースへの参戦は日産を代表してニスモの手で行われることに変わりはないから、ニスモという会社の大きな仕事の一つがそれであることは従来通り。

しかし一方で少しづつ作り始めていたロードカー製作は、今や一つの柱となりつつあり、これまで存在していた『マーチ』、『ノート』、『フェアレディZ』、『ジューク』、それに『GT-R』、さらにはジュークには「RS」と呼ばれるニューモデルが登場するなど、その数は年を追うごとに増えてきているのだ。

これに加えて、既存モデルにも対応するアフターパーツの開発も、ニスモの重要な仕事の一つ。例えば「ヴェルディナ」と名付けられたエクゾーストマフラーなどは、 ほとんどすべてといっても過言ではないほどあらゆる種類の日産車に対応する商品が揃っているし、エンジンに始まって、サスペンション、ブレーキ、トランスミッション、果てはリンクやブッシュに至る細かいパーツまで、すべてニスモ仕様が用意されている。

コンプリートカーならずとも、こうしたニスモパーツをパッケージで装備するパフォーマンス・パッケージも、『エルグランド』と『リーフ』に用意されているなど、今ニスモがやろうとしていることは、自動車をより楽しく乗るための、ありとあらゆるパーツを取り揃えていると言っても過言ではないのである。

その「楽しい」が意味するところは、勿論ニスモの名前が示すように基本的にはドライビングプレジャーの向上が第一義であるわけだが、見た目だけだって他と違うを演出できるし、音だけでも単に性能向上といわず、五感を刺激するアイテムの一つと捉えれば、それなりの楽しさの一つなわけで、日産ユーザーとなればそのサポートを受けられるチャンスがあるということは、とても大きなバックアップだと思えるのである。

◆めざすは日本のAMGか

そしてもう一つの事業。これはまだ会社概要にも書かれていないのだが、マーチャンダイズの販売である。つまりはニスモを一つのブランドとし、ミニカーからウェアに至るソフトウェアにも手を染めることになるというのである。ここまで来てはたと気が付いた。ニスモが目指しているのはコンプリートカーの製作、 チューニングパーツビジネス、それにロイヤリティー管理を含むマーチャンダイズビジネス。この3本柱はまさにドイツのメルセデスAMG、BMW M GmbH、アウディ クワトロGmbHなどの事業展開と極めてよく似ているではないか。つまりニスモは、突き詰めれば日本のAMGを目指しているのではないかと思うようになったのである。

単に制作したパーツを後付けするチューニングビジネスだけではなく、コンプリートカーの製作においては、最新のジュークRSやGT-Rニスモ、それにZニスモの場合、ボディにまで手が入っている。しかもそれを既存車のラインに流そうというのだから話は簡単ではない。驚くことにボディの強度アップに関してい えば、上記のモデルはいずれも異なるアプローチでボディを補強している。ジュークの場合、いわゆるパッチワークと言って、肝になる部位に補強部材を貼り付ける手法。GT-Rの場合は接着剤を流すボンディングという手法を採った。そしてZでは骨格の左右をダンピングブレースで連結する手法を採っている。

ニスモ・ビジネス・オフィス、チーフ・プロダクト・スペシャリストにして、GT-Rのチーフでもある田村宏志氏によれば、どの手法が正しいかという答えは出ていないというが、ボディによって臨機応変で最良のソリューションを導き出すのが、今の手法であって、車種によってこの先も最良の強化方法を見つけ出していくという。

それにしても試乗したすべてのモデルは、ノーマル車種に対して驚くほどの変わりようで、最後はタイヤのブランドにまで拘りを見せていたあたりは本当に頭が下がる思いだった。恐らくこうしたビジネスは、日本というマーケットにおいてはまだまだ端緒に着いたばかり。ことによると海外での名声が先で、それに伴って日本で火が付くという可能性も否定できない。まさにニスモのブランド化が始まったわけである。

コンプリートカーはこれまで単にニスモと呼ばれるラインナップ展開と、ニスモSというラインナップ展開が行われてきた。単にニスモと呼ばれるブランドでは、エンジンには手を加えていない。しかし、ニスモSではエンジンにも手を加え、パワーアップを果たしている。そして今回ジュークでは新たにニスモRSというラインナップを立ち上げた。

まだラインナップといってもジュークに限られるわけだが、ニスモ、ニスモSで行われる、エンジン、サスペンション、ブレーキ、エアロなどのチューニングに加えて、トランスミッションにもステップシフトの8速マニュアルモードが付くCVTが採用されている。勿論ジュークRSにしかつかない。ベースとなった「GT-four」に対して80万円ほどの価格上昇だが、このニスモRSに装備されたパーツを個別に取り付けたら200万は下らないというから、かなりのバーゲンプライスでもある。しかも前述した8速マニュアルモード付きCVTは欲しくても手に入らないわけだから、スペシャルな印象はことさら強い。さらに言うならば、装着されているレカロシートにしても吊るしのものではなくニスモ・オリジナルだという。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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