【GARMIN Edge 1000J インプレ前編】“ハイエンドのさらに上”を目指した究極サイクリングコンピュータ

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GARMIN Edge 1000J
GARMIN Edge 1000J 全 18 枚 拡大写真

Edge 810Jの遥かに上を行くフラッグシップ

GARMINのサイクルコンピューターに新しいモデル『Edge(エッジ) 1000J』が登場した。従来のフラッグシップである『Edge 810J』のさらに上を行くハイエンドモデルで、型番はついに4桁に突入。ほとんどスマホと見間違うばかりのボディにはこれまで以上の機能が詰め込まれている。

GARMINは1989年の創業と比較的に新しい企業で、山岳地帯や海洋で使用するGPS機器からスタートした。サイクリストの間では、サイクリングコンピュータの定番ブランドとして認知されている同社も、この分野に参入してからの歴史は浅い。ベストセラーとなった「Edge 500」シリーズが日本で発売されたのは2010年のことだ。しかし、それからわずかな期間で、GARMINは押しも押されもせぬトップブランドに成長した。

2013年に発売されたEdge810Jは、その機能、性能、そして価格面でも並ぶものがないほどの“キング・オブ・サイコン”といえるもので、多くのプロ選手にも愛用されている。そこにGARMINはEdge 810Jよりも大幅に進化させた新型モデルを投入した。それが、今回取り上げるEdge 1000Jだ。

GARMINのサイクルコンピューターとして新たなフラッグシップモデルの位置に付いたEdge 1000Jは、Edge 810Jの持つ機能に加えて、新たな機能も数多く追加。さらに、従来の機能についても大幅な改良を行っている。ここまで攻めるのか、と思わずにいられない意欲的なモデルだ。

◆正常進化で使いやすさを着実に向上させた

まず本機の外観から順にチェックしていこう。本体サイズは縦112mm、横58mm、厚さ20mmとかなり大型だ。スマホ並み、とまでいっては大げさかと思ったが、調べてみると厚み以外はiPhone4S(縦115mm、横58mm)とほぼ同サイズだった。やはりスマホ並みの本体サイズだ。

ディスプレイは3インチの240×400ドット、フルカラーとなっている。解像度はスマホ並みとはいかないものの、Edge 810Jの160×240ドットと比べれば遥かに高精細で表現力に優れる。また、タッチスクリーンが改良されてマルチタッチに対応し、雨天など水に濡れると画面がロックされる機能も搭載された。見やすさ、使いやすさが大幅に向上したといっていいだろう。

内蔵される地図データも2014年版にアップデートされた。全国主要施設の3Dアイコンや、700軒以上に及ぶ全国主要サイクルショップの情報も網羅している。また、オプションの日本登山地図を収録したmicroSDカードを使えば、等高線でアップダウンを確認しながらのライディングも楽しめる。こうした使い方でもデータが保存できるように、本体内に8GBのメモリも新たに内蔵された。さらに、正規輸入元のいいよねっとによれば、専用自転車道が入った地図も後日、提供予定とのこと。自転車専用道は非常に要望の高かった機能だが、ついに対応となった。

このように基本機能を充実させて、使いやすさを向上させたのが本機の第一の特徴といえる。ただ、その代償として本体重量は114.5gと少し重くなった。810Jより16.5グラム、510Jより34.5g重い。一方、バッテリー持続時間は15時間となっており、810Jより2時間、510Jより5時間短くなっている。外部バッテリーで補うことはもちろん可能だ。

◆Wi-FiやANT+、Bluetoothを駆使してプロ仕様の機能を実現

1000Jでは、810Jの機能をほぼすべて継承しつつ、新たに数多くの機能が追加された。ざっと挙げるだけでも、Wi-Fi対応、メール着信などを知らせるスマートノーティファイ機能、シマノの電動変速システム「Di2」対応、セグメントデータの共有で仲間と仮想的なレースができる機能などが新たに追加されている。いずれもワイヤレスで他の機器などと連携する機能であることが特徴的だ。

Wi-Fiはデータのアップロード用で、自宅に無線LAN環境があれば、トレーニングから帰ってくるだけで、そのデータがクラウドサービスのGARMINコネクトにアップロードされる。無線LAN環境さえあれば、スマホやパソコンに接続することなく単独でアップロードできるのだ。

Bluetoothは主にスマホとの連携用。810Jにもこの機能はあったが、スマホをモバイルルーターとして使い、クラウドサービスの「GARMIN CONNECT」から情報を入手するといった用途だった。本機では、こうした機能に加えてスマートノーティファイ機能が追加された。スマートフォンにメールや電話が着信すると、それを本機のディスプレイに表示して知らせてくれるのだ。メールの本文まで本機のディスプレイに表示することができる。

シマノの電動変速システム「Di2」に対応したことも大きなトピックといえる。シマノのワイヤレスユニット「SM-EWW01」を接続することで、走行中にギアの段階やバッテリー残量が確認できる。また、履歴データにはトレーニング中に何回ギアチェンジしたのかが記録され、ディスプレーで確認することができる。

もう一つのトピックは付属するセンサー類の刷新。ハートレート(心拍計)、ケイデンス(クランク回転計)、スピードの各センサーが付属するが、このうちケイデンスとスピードのセンサーが完全に一新された。従来はスポークとクランクにマグネットを固定するタイプのセンサーで、取り付け時に微妙な調整が必要だったり、異型フレームやミニベロには取り付けができない場合もあった。新しいセンサーはGセンサーを利用したもので、マグネットは不要。取り付けは非常に簡単で、微妙な調整は必要なくなった。また、ほとんどの自転車に取り付け可能となっている。

「セグメント」と呼ばれる機能を使って、実際に集まることができない仲間と仮想のレースができる機能も追加された。これは少し分かりにくいので具体的に説明しよう。まずクラウドサービスであるGARMIN CONNECTでセグメントをつくる。これは自分が走ったコースの記録から指定部分を切り出して、名前をつけるだけだ。

次に、レースをしたい人がそのセグメントデータを本機にダウンロードし、同じ場所を走る。すると、1人で走っていても、画面上にセグメントのデータがリアルタイムで表示され、仮想的にレースができる。休日が合わず直接会えない人でも、セグメントを通じてレースを楽しむことができるのだ。セグメントデータはEdge 1000J同士で無線通信により送受信することもできる。

《山田正昭》

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