ホンダが「Nシリーズ」の第5弾として投入した『N-BOXスラッシュ』の開発責任者である浅木泰昭・本田技術研究所執行役員は、この新モデルは「Nシリーズのアンテナショップの役割ももたせている」と話す。軽としては先進的な装備も多く採用しているからだ。
N-BOXスラッシュで浅木氏が第1にこだわったのは「初期のデザインそのままに量産すること」だったという。そうでなければN-BOXスラッシュに託した「新しい顧客の開拓につながらない」と考えたからだ。若手の開発メンバーには「本当にこのデザインでやりたいのか」と、何度も“挑発”したそうだ。
同時に、Nシリーズの一員として「他のモデルにも展開が可能な装備を探ることができるよう、アンテナショップ」のモデルにも位置付けた。たとえば後席スライドシートや電子制御式パーキングブレーキ(EPB)などの新技術や先進装備を多く採用。顧客の反応を見て、他のNシリーズへの展開を探るというわけだ。浅木氏の深謀遠慮で、単なるとがっただけのモデルでなく、同社の軽モデル全体に波及しうるタスクを負わせている。