田中貴金属工業は、2014年(1-12月)の年間資産用プラチナ地金の販売量と買取量をまとめた。
プラチナ地金の2014年における国内価格の平均はグラムあたり4758円で、2013年の年間平均価格はグラムあたり4740円を18円上回った。
2014年のプラチナ国内価格は、南アフリカ鉱山会社での労働争議を要因とした供給不安や、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、ロシアで多く生産され自動車触媒に使用されるパラジウム相場の上昇に追随する形で上昇。その後、ウクライナ情勢の緊張緩和で上値を抑えられながらも、米国の自動車販売台数や、ディーゼル車需要の高い欧州の自動車販売台数が回復の兆しを見せたことにより、7月には今年最高値となるグラムあたり4977円をつけた。
7月以降、南アフリカ鉱山会社のストライキ終結後の供給状況が予想よりも早く回復したことや、中国の景気鈍化を背景にした自動車需要の減少懸念などを背景に、軟調に推移する金価格に連動する形で値を下げ、11月にプラチナの国際価格は2009年7月以来となる1トロイオンス(約31g)1200ドルを割り込んだ。国内価格も下落したが、円安が進んだことで下げ幅は限定的となり最終的に12月のグラムあたり月平均価格は4719円となった。
販売量は、2014年上期(1~6月)が前年同時期と比べ38.9%減少、下期(7~12月)は、前年同時期と比べ41.5%増加。通年では前年比7.5%の減少となった。買取量は、上期が前年同時期36.9%の減少、下期は前年同時期と比べ17.7%減少。通年では前年比31.1%の減少となった。
2014年の販売量は、通年では微減しているが、価格が下落傾向にあった下期で、前年下期を大きく上回ったことから、プラチナ価格に敏感に反応している模様。買取量は、年平均価格が2013年の年平均価格とほぼ変わらない値動きの乏しい状況からか、様子見の傾向がうかがえる。
今後は、南アフリカ鉱山の供給動向と日米欧に加え、巨大市場に成長した中国の自動車需要の動向に、市場の注目が集まる事が予想される。