【デトロイトモーターショー15】ホンダ NSX を真のスーパーカーに仕立てた英断

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ホンダ NSX 新型(デトロイトモーターショー15)
ホンダ NSX 新型(デトロイトモーターショー15) 全 18 枚 拡大写真

もし、フォード『GT』が出現しなければ、間違いなく今回のデトロイトショーで 主役の座を得たのは、『NSX』だったと思う。

その成り立ちについてはすでに多くの報道があるので、ここでは隠れた凄さについてお話ししよう。デトロイトのプレスコンファレンスで、NSXのチーフエンジニアにしてグローバル・ディベロップリーダーのテッド・クラウスが明かしたこの言葉だ。 曰く、「みなさんは2013年の8月、ミッドオハイオで開催されたインディカーレースのスタート前、ブルーに塗られたNSXのコンセプトカーが走ったことを覚えている方のいるでしょう。あれは横置きNAのV6エンジンを搭載したクルマでした。」

そう、僅か1年半前のNSXは、横置きNAのV6エンジンを搭載していたのである。当然その年、東京モーターショーにやってきたクルマも同じレイアウトだった。それから僅かの期間で、彼らはそのエンジン搭載方法を横置きから縦置きに変え、さらにNAはツインターボV6としたのである。誰が考えてもこの変更はクルマ作りの根本を見直す重要な決定だったと言ってよいと思う。

もう一つの大きな要素。それはスタイリングだ。初代NSXは、確かにジェットファイターからヒントを得たというスタイリングでスマートだった。しかし、スーパーカーとしての迫力に欠けていたことは間違いない。それが今回のNSXはデザインの面からもスーパーカーと呼ぶにふさわしい成り立ちを持っている。

コンセプトから大きく変わっていたのはサイドの深い抉り。逆くの字に折れ曲がったボディサイドの抉りは、コンセプトの時代、キャラクターラインのすぐ下で止まっていた。それが、市販バーションではグッと下まで回り込み、サイドの表情をよりアグレッシブにしていたのである。

偶然の一致か、この逆くの字ラインの造形は、同日発表されたフォードGTも同じ。しかもそこからエアインテークにエアが導かれ、フローティングピラーを通してリアのスポイラーにエアを充てる構造まで同じだった。このフローティングCピラー、古くはフェラーリ『599フィオラノ』で用いられ、その後トヨタが『FT-HS』などでも採用し、言わばスーパースポーツデザインの一つのトレンドになりつつあると言って過言ではない。もし、NSXに続き、フォードGTが市販されてこのデザインを採用すれば、それはまさに最新トレンド。特にミッドシップではNSXが初採用ということになる。

勿論、3モーターのハイブリッドシステムやSH-AWDは大いに注目されるだろうが、開発の最終段階で、車両の根本であるエンジン搭載方法の変更とスタイリングの変更を断行しているのはNSXを真のスーパーカーに仕立て上げる重要な要素であった。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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