積水化成品工業は、融雪ヒーターと「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)製断熱材が、秋田新幹線新型車両「E6系こまち」の台車周辺部着雪防止ヒーターに採用されたと発表した。
同社は、電力量を自己調整するPTCセラミックヒーターと、断熱材を複合、熱効率を適正化した商品を提供している。融雪ヒーターは、電力量を自己調整するPTCセラミックヒーターで、各部の温度ムラを低減、必要に応じた出力調整が可能。電力量を周囲温度に応じて自己制御することで、サーモスタットなど、別途の制御機器が不要。同型の融雪ヒーターは、東北新幹線の新青森駅屋根などの融雪パネルヒーターとしても採用されている。
また、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体の「ピオセラン」製断熱材は、形状の寸法安定性、高耐熱性能を兼ね備える。
今回、波型にしたピオセラン成形品の中に融雪ヒーターを組み込むことで、必要な面に効率よくPTCセラミックヒーターの熱を伝えることが可能となった。
秋田新幹線は、積雪地域の運行で車輪後部の車体に、雪の付着を繰り返す。付着した雪は氷化し、落下飛散の可能性がある。同社は2009年から川崎重工業と基礎試験、実装試験を行い、付着箇所における融雪ヒーターの融雪性能が安定しているのに加え、熱が逃げにくい断熱材の検証を進めてきた。この結果、秋田新幹線新型車両「E6系こまち」に採用された。
積水化成品では今後、積雪地域向け在来線車両など、鉄道分野への採用拡大を目指す。