WiMAX2+CAが実測195Mbpsを記録…「ヤ倍速」の実力

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195Mbpsを記録した 全 12 枚 拡大写真

 UQコミュニケーションズは20日、栃木県真岡市で、下り最大220MbpsのWiMAX2+を先行体験できる電測ツアーを開催した。栃木県在住のパイロットモニターと少数のメディアが参加したこのツアーの様子を紹介したい。

 同社が1月15日に「ヤ倍速」として発表した下り最大220Mbpsのサービスには、キャリアアグリゲーションと4×4 MIMOの2つの技術を使ったものがあるが、今回真岡市で開始となったのはキャリアアグリゲーションを使ったものとなる。

 代表取締役社長の野坂章雄氏は、「1月15日にギガヤバ革命として発表したが、ギガ放題が今日から開始となった。そして、もう一つのヤ倍速の最初の地としてこの真岡市を選んだ。今日はキャリアアグリゲーションがどういうことなのかじっくりと見ていただきたい」と挨拶した。

 真岡市を選んだ理由について、執行役員技術部門長の要海敏和氏は、全国のエリアの中から既存のWiMAXとの干渉が少ないこと、トラフィックが低いことの他、地形などを考慮して決定したと語った。

■WiMAX2+の基地局の解説

 実際に利用されている基地局だが、今回見たものはコン柱(コンクリート柱)タイプの基地局で、WiMAXの基地局にあとからWiMAX2+の設備を足したもの。先端部分の4本のアンテナのうち、細い2本のアンテナがWiMAXで、太い2本のアンテナがWiMAX2+のものだという。太いアンテナにはさらに2本のアンテナが入っており、基地局によってはこれらが外に出てWiMAXが2本、WiMAX2+が4本の合計6本のアンテナとなっているものもあるという。

■実行速度195Mbps!電測バスツアー

 電測バスがスタートしたのは、基地局が目視でき、周囲の建物によって電波が反射する地点。今回の220Mbpsは、キャリアアグリゲーションの他に2×2 MIMOも利用しているので、周囲の地形や建物によって電波を反射させてマルチパスを作ることも高速化に繋がるのだという。好条件の揃ったスタート地点、基地局の制御信号も含まれるプライマリーセル(Pcell)と、データ信号だけのセカンダリセル(Scell)の合計となる物理層の速度(PHY Throughput)は200Mbps前後出ていた。そして実行速度となるTCP/IPの受信速度は195Mbpsを記録した。

 その後バスは真岡市内を移動。もちろん移動すると速度は遅くなるが、走行時でも100Mbpsを超えている場面も多く見られた。バスが移動し、基地局との距離、地形、建物などの条件を変えていく中で、速度が上がる理由、落ちる理由について解説された。高速通信のためには、基地局との距離はある程度近く、できれば見える位置が良いようだ。ただし、基地局の真下は近すぎて逆に電波が届きにくく、また複数の基地局が見えるような場所だと逆にそれぞれが干渉してしまい速度が落ちる。また、周囲に建物や土手などがあるとマルチパスが作りやすく、MIMOが効くため速くなるようだ。

 バスの移動中もかなりの場所でキャリアアグリゲーションに接続できていた。要海氏によれば、真岡市内では97%がキャリアアグリゲーションにつながっているという。また、全国に展開しているWiMAX2+の基地局の累積分布をとると、平均的には50%値が30~35Mbpsで、1つの目安としてこれを考えると、キャリアアグリゲーションによってこの倍の値である60~70Mbpsが平均的に提供されることになる。

■キャリアアグリゲーションのW01か4×4 MIMOのWX01か

 1月に発表となったルーターはキャリアアグリゲーション対応のW01と4×4 MIMOに対応したWX01の2種類。ユーザーとしてやはり気になるのはキャリアアグリゲーションと4×4 MIMO、どちらが優れているのか、どちらのルーターを選ぶべきなのかということだ。要海氏は「どちらもピークレートは同じくらい」とするが、「WX01はマルチパスが命なのでマルチパスがある環境では強い。今回の試験でも実はWX01持って来ているが真岡市のようなマルチパスが作りにくい環境ではなかなか速度が出ない。以前に大手町で4×4 MIMOのトライアルをやった際も、ビルの間ではマルチパスが取れて速度が出ていたが、皇居側に抜けた途端にマルチパスがとれなくなって速度が落ちるということがあった。都市部では2波化によるキャリアアグリゲーション対応が難しいということもあるが、マルチパスが作りやすいという意味ではWX01は都市部向きかなと思っている」とのことだ。

■2波化によってWiMAXの速度は落ちる?

 キャリアアグリゲーションの対応によってWiMAX2+は220Mbpsに高速化されるが、それまでWiMAXが使っていた周波数を切り替えるため、WiMAXの使える周波数が減り、通信速度は下り最大13.3Mbpsになってしまう。真岡市のWiMAX通信速度はどうなったのか気になるところである。UQが真岡市内のビジネスホテルで行ったテストによると、午後7時に下り8Mbps前後だったという。ユーザー数が少なければこの程度の速度は出るため、WiMAXユーザーにはWiMAX2+へ切り替えを促し、ある程度ユーザー数が減ったところから順次キャリアアグリゲーションを導入していくということだろう。

 WiMAX2+の2波化についてはユーザー数の他にもエリアの大きさも関係している。WiMAXの周波数をWiMAX2+に切り替えるため、隣り合った基地局でWiMAXとWiMAX2+の電波を出すと干渉する可能性がある。そのため現在のWiMAXエリアをブロックで区切り、干渉しないようにブロックごとWiMAX2+に切り替えていくのだという。気になる真岡市の次はどこなのかという質問には「まだ決まっていない」(要海氏)とのことだ。

 今回の電測ツアーでは、移動中でも100Mbps以上の場所も多く見られ、下り最大220Mbpsのキャリアアグリゲーションの実力を確認することができた。ただ、筆者の予想以上にMIMOが通信速度に影響しており、マルチパスを作れるかどうかで速度が大きく異なったことが驚きであった。3月に開始予定の4×4 MIMOではマルチパスがさらに重要になってくる。キャリアアグリゲーションとどのような違いが見られるのか注目したい。

実行速度195Mbpsを記録!……WiMAX2+ キャリアアグリゲーションの実力を体験

《吉川 亮太@RBB TODAY》

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