テレビ&スマホ 2画面視聴時代、マーケッターはマインドセットを改めよ

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博報堂Consulactionセミナー(2015年2月23日)
博報堂Consulactionセミナー(2015年2月23日) 全 4 枚 拡大写真

博報堂は2月23日、「Media Extension スマホ時代のマーケティング計画に抑えておきたい、<メディア行動>最前線!」と題したConsulactionセミナーを開催した。メディア環境研究所の研究員らがスマートフォン時代のメディア行動についての調査結果と分析を発表した。

今回の企画のキーワードは「マーケティングの“マインドセット”を変えること」、と博報堂Consulactionの岡氏は説明する。これまでは個々の商品×特性=プロモーションという図式が成り立っていたが、情報源やチャネルの増加、生活者の行動が受動的から能動的に変化、リアルタイムに限られていたことがいつでもどこでも行動するようになったことなど、新しいメディア行動が見られるようになったため、今後は新しいメディア行動÷ターゲット特性=という図式から考えていく必要があり、その時にどういった商品がどのように売られるかは未知なところが多い。

こうした前提を踏まえ、上席研究員の加藤薫氏は「ここ数年で普及度を増しているスマートデバイスを手にした生活者の行動は、いままでにない領域にひろがりをみせているのではないか。そのとき、これからのメディアをどう捉えるべきか」と問う。

では、昨今のマルチスクリーン環境のうち、テレビとスマートフォンを基軸に新しいメディア行動特性はどのように現れているのだろうか。

◆ログ解析が明らかにする テレビコンテンツとWeb・アプリ行動の相関

上席研究員の新美妙子氏は、スマートデバイスを手にしたことがきっかけで新たに生まれた行動を整理する。

新美氏は、2014年に実施した調査結果(サンプル数1770)をもとに、「気になることはすぐに調べる」「天気交通情報はSNSから調べる」「メディアで見聞きしたことをネットで検索する」「SNSで発信する」などの行動それぞれにおいて、特定の年代・性別で分類。その結果によると、それぞれの行動が「追っかけ欲求」「深堀り欲求」「満たされ欲求」「臨場欲求」の四つに分類できるという。

さらに新美氏は、ログ解析によって「TVをみた人がどのようなWeb・アプリ行動をとるか」という調査結果を示した。ひとことでTV番組と言っても、ドラマをみたときはLINE・ツイッター・Facebookなどのコミュニケーションツールが多く使われ、情報番組のときは情報収集ツールによってキュレーション行動を多く取るなど、視聴した人がとるWeb・アプリ行動に差異があることを定量的に示した。

◆“テレビからスマホ検索へ”のプロセスで顔を出せるかが大切に

続いて同研究所研究主幹の勝野正博氏が登壇し、TVを視聴している人がどのようにほかのスクリーンへ接触しているかを調べた結果を示した。今回はテレビの視聴者が同時にスマホなどのスクリーンを触る行動を“視線追跡”カメラによるアイトラッキング調査を実施。

その分析結果によると、勝野氏は「生活者の“Media Extension”が認識された」と述べる。

Media Extensionとは2つの広がりを意味する。

1つ目の広がりは「TVから得た情報の詳細、評判、真偽等をスマホで確認しながら視聴すること」を意味する。「Find&Confirmというアクションの連続が高速で行われ、情報がリアルタイムで拡張する。スマホの普及によって生活者が時間を有効に使えるようになったことで、より早く次の行動をとる傾向にあり、テレビで見たことはその場で調べるようになっている。したがって今後メディアやブランドは、テレビ視聴者がテレビに反応して検索するときに顔をだすことができるか、という点がとても重要」(勝野氏)。

2つ目の広がりとしては「コミュニケーションがリアルライフで拡張する」ことを意味する。調査対象だった中学生がテレビをみながら複数のトピックで複数の人とLINE、ツイッターを通じてコミュニケーションをとっていたことからもわかるように、SNSをいわば“井戸端、球場”のような空間にしながら同好の士と同期しながら特定のスクリーンを視聴するという。

「テレビをひとりで見ているようでもその下にコミュニケーションが生まれており、この時の視聴者のコミュニケーションのなかにうまく入っていくことが課題となる。その際、どういったストーリーで入っていくかが企画の段階で検討すべきポイントとなってくる。みなさんのコンテンツがスマホに対応しているかどうかが重要な検討項目といえる」と勝野氏は指摘した。

この後「昨今、生活者に触れているスクリーンはスマートフォンとテレビだけではない。スクリーン自体が増加している点を認識しながら、マルチスクリーン環境でリアルタイムに様々なアクションを起こしている生活者に溶け込むことが今後ますます重要となる」と述べて講演を締めくくった。

《まとめ・構成 北島友和》

《北原 梨津子》

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