【マツダ CX-3 プロトタイプ 公開】“Fun!”の部分を増したクルマの味付けとは

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マツダ CX-3 プロトタイプ(XDツーリング)
マツダ CX-3 プロトタイプ(XDツーリング) 全 14 枚 拡大写真

ライフスタイルをクロスオーバー(融合)する、次世代のスタンダードモデルとして開発された『CX-3』。

“人馬一体”の走りを追求する点では他のマツダ車と同様の考えを持つが、このクルマならではのダイナミック性能はどのような部分にフォーカスを当てて開発しているのか? 車両開発本部の林貴誉志氏と水島裕文氏に話を聞いた。

◆背が高くなっても運転を楽しめるように

設計の取りまとめや実験等を担当する副主査の林氏によれば「操安性を含めたダイナミック性能、そして静粛性を今より一段上げることに注力しました。私は元々ボディ設計をやっていたのですが、エクステリア/インテリアに対してもライトの光らせ方なども含め、デザイン部門などと連携してきました」とのこと。

ディーゼルエンジン一本で勝負するCX-3だが、すでに定評のある静粛性については「フロア下や隙間からの遮音なども含め従来以上に吸音材の配置などを徹底的に吟味しています。ドアシールを全周に回すことはもちろん、欧州や北米でもテストを重ね、この部分を作り上げてきました」(林氏)と話す。

プラットホームもデミオをベースとなっているが、その味付けに関して操安性を担当する水島氏に聞くと、「デミオのプラットフォームは使っていますが、味付けとしては、背が高くなっても運転を楽しめる“Fun!”の部分を増やすようにしています。言い換えれば、よりワインディングを早く駆け抜けられるようにしました」という答えが返ってきた。

SUVといえば重心が高くなったり、タイヤが太くなることでバネ下重量が増すなどハンドリングには不利になることが多いのだが、「確かに普通はベース車がありそれをSUV化する、という考えがあるのですが、このクルマは逆の発想にしてスポーティな味付けしています。その理由はデミオがBカーで守備範囲が極めて広いのに対し、CX-3はヤングファミリーやカップルをターゲットにしているからです。ゆえにもっとクルマに乗って楽しもうというベクトルに寄って開発したのです」(水島氏)という。

サスペンションもフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームアクスルとデミオと同形式だ。

「リアの接地感をアップさせています。デミオとの違いはねじり剛性を大幅にアップさせたこと。これにダンパーとバネのバランスを取ってチューニングしています。具体的に言うとタイヤのグリップを使い切ることを狙いとしました。ブッシュは2つあるのですが、それを柔らかくして左右方向によく動くようにしています」(水島氏)。

つまり横Gがかかった時にサスの前部分が内側に向かせることでトーアウトとなる部分を少なくすることでタイヤがよりグリップするように設計している。ちなみにタイヤは18インチがトーヨー、16インチはブリヂストンまたはダンロップが装着される。

◆最も進化した“人馬一体”が今ここに

マツダといえば前述したように「人馬一体」が走りのキーワードだが「これに関してもその考え方を踏襲しながらさらなる質を上げています。人の感覚に近くなる操安性という点ではおそらくこのCX-3が現状では一番進化しているのではないかと思います」(水島氏)。

パワステに関しても「最後の塩とコショウでしょうかね(笑)。『曲がりたい』という人間の感覚に対してリニアに反応するようにチューニングをしました」(水島氏)。

またこれだけのこだわりのある中、当然ライバル車などは国内にとどまらず欧州勢なども視野に入れているのか? という問いに対しては「開発を開始した時にはそれほど競合車というものがなかったのであまり考えませんでした」(林氏)という答え。

「そういう意味で意識したのはしいて言えばアクセラかもしれません。良い意味で上のモデルでもありますからよく乗っていました(笑)」(水島氏)のだそうだ。“敵は身内にあり”ではないが、コンセプト通りにクルマを作り上げればライバルの存在などはあまり気にしないのかもしれない。最後にこのクルマを一言で言い表してほしい、との質問に対して2人は、「“上質”です」と答えてくれた。

「狙いとしてはオンリーワンを目指す、運転して楽しいクルマを作り上げました」(水島氏)、「どこに出しても胸を張れるだけのクルマが出来たと思います」(林氏)との言葉から感じたのが、このジャンルに参入したというよりは、新たなマーケットを切り開くという強い意志でこのクルマを作り上げたということだ。

マツダは現在クルマへの想いを『Be a driver』という言葉で表現しているが、これを純粋に追求したクルマに仕上がっているのではないだろうか。試乗が楽しみな1台であることは間違いなさそうだ。

《高山 正寛》

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