【ジュネーブモーターショー15】日本発、スパルタンなミッドシップスポーツ…フィアロコーポレーション

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P75 CIPHER。後方に見えるのは『P67b ETERNITY』。『カーバー・ワン』をベースにしたデザインスタディで、2005年の東京モーターショーにも展示された
P75 CIPHER。後方に見えるのは『P67b ETERNITY』。『カーバー・ワン』をベースにしたデザインスタディで、2005年の東京モーターショーにも展示された 全 34 枚 拡大写真

コンセプトカーやプロトタイプの制作で自動車メーカーをサポートするデザイン開発会社、フィアロコーポレーション(埼玉県新座市)は2月、スタイリッシュな2座席スポーツカー『P75 CIPHER(サイファー)』を公開した。

【画像全34枚】

P75 CIPHERは同社の創業75年という節目を機に企画された自主制作モデル。シャシーの設計からスタイリングまで、デザインのすべてを社内で手がけている。エンジンはトヨタの1NZ-FE。『ヴィッツRS』採用されている1.5リットル直4を横置きミッドシップとするクラブマン・レーサーだ。

同社はこれまでにも、デザイン能力の底上げやスタッフのモチベーション向上といった目的で、何台かの自主制作モデルを作り上げ、公開してきた。このP75 CIPHER の目的も基本的には同じだが、さらにCAE能力のアピールやデジタルツールの習熟、事業領域拡大を目指すといったことも狙いに含まれる。

サイズはコンパクトながらエッジの効いたグラフィックスが特徴だが、パッケージレイアウトやシャシーは古典的なミッドシップスポーツカーのデザインを踏襲する。それはなぜか。

デザイン開発部の坂田建吾ゼネラルマネージャーは「最初は、未来的な乗り物のアイデアもありました。しかしそれだと走らせてみても、普通のクルマとの比較評価がしづらい。設計分野でのフィードバックを得るために、あえてオーソドックスなものにしました」と説明する。

チューブラーフレームを採用しているのも、社内スタッフのCAE能力の習熟と目的としたため。プロジェクトのまとめ役となった、業務推進本部の野末健太郎リーダーは「強度や耐久性だけでなく衝突時の応力分散などを解析しながら、見た目もかっこいいパイプフレームとなるようデザインを進めた」という。

CAEを担当した松本貞行さんによれば「社内のエンジニアが経験と勘を頼りに設計したものと比較すると、剛性が50%もアップしていた」という。さらに同社としてはじめてCFD(数値流体力学)の領域にも踏み込み、ディメンションを検討しつつフレームを作り上げている。

いっぽうボディは細かなパネルに分割され、いずれもシャープな造形。組み上げた状態でも、キャビン部分ではフレームが露出してアクセントとなる。「技術をひと目で見られるショーケースの役割を果たし、未来への可能性を感じさせることが目標でした」とはスタイリングを担当した平田滋男さん。

モーターサイクルのように「フレームに、メカニカルパーツやボディを組み付ける」という方向でスタイリングを考えた結果、通常のクルマのようにひとつのボディで覆うのではない、軽快感のあるものになったという。

またディテールがウェッジシェイプを基本とするのは「スーパーカー世代の中堅社員が、素直にかっこいいと思える形状だから。それに、未来を担う子供たちにも“クルマってかっこいい!”と感じてほしいから」とのこと。ちなみにヘッドライトのベゼルやステアリングなどといった細かな部品も、社内やグループ企業で作り上げられている。

P75 CIPHERはもちろん、実際に走行可能なプロトタイプだ。PVを撮影するために筑波サーキットも走行している。ただし本格的な性能テストやデータ収集は4月以降となる予定。なぜならこのスポーツカーは、今年のジュネーブモーターショーに展示されるからだ。

ピニンファリーナやイタルデザイン、ザガートといったイタリアのカロッツェリアをはじめ、コンプリートカーメーカーや新興ベンチャー企業など、幅広い出展者で賑わうジュネーブショー。目の肥えた来場者たちに、この日本製スポーツカーはどのように映るだろうか。

「厳しい意見をもらうこともあるでしょうが、どんな声もすべて財産になります。創業100周年を迎えるために、デジタルツールを駆使してフィジカルな(実体のある)デザインを作り上げる能力を、もっと高めたい」と坂田マネージャーはジュネーブ出展の意義、そして将来の目標を語っている。

《古庄 速人》

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