【スズキ SX4 S-クロス 発売】目標わずか年間600台、地味な船出の理由とは

自動車 ニューモデル 新型車
スズキ SX4 S-クロス
スズキ SX4 S-クロス 全 16 枚 拡大写真

スズキは、2月19日より『SX4』をフルモデルチェンジした新型『SX4 S-クロス』を日本で発売した。この新型モデルは世界的なトレンドである「コンパクトなSUV/クロスオーバー」そのものであり、すでに欧州や中国では2013年より生産や発売が開始されている。今回、日本にはハンガリーのマジャール工場にて生産されたクルマが輸入販売されることになった。

ちなみに、日本においてSX4は、セダン版や普通のハッチバックモデルも販売されていたため、「突然のSUV/クロスオーバー路線への変更」と思う人もいるかもしれない。しかし、SX4は2006年の初代誕生時より「コンパクトカーとSUVを融合させた、スポーツクロスオーバー」として名乗りを上げていたのだ。

「SUVやクロスオーバーの要望は、欧州ではもともと強かったのですが、最近では中国でもインドでも、すごく増えています。やはりSUVは、従来のハッチバックなどよりもプレミアム感がありますし、実用性も高い。そういう面が受けていると思います」とは、SX4 S-クロスの開発をアシスタント・チーフエンジニアとして担当してきたスズキの横山典洋氏だ。

世界的なトレンドに乗った最新モデル。欧州やアジアでも評判は上々だという。しかし、日本での販売目標は、わずかに年間600台。あまりに少ないのではないだろうか。

「SX4 S-クロスは、スズキとしては初めてのCセグメントのハッチバックなのです。また、クロスオーバーというクルマも少ないし、欧州からの輸入車というのも、あまりありません。そこで、まずは様子見ということで台数を設定しました」と横山氏。

先代のSX4は、実のところ微妙なサイズ感であった。Bセグメントとしては大柄だが、Cセグメントには届かない。そこを今回のフルモデルチェンジで、ホイールベースを100mm伸長し、後席と荷室空間を拡大。実用性を大いに向上させて、ライバルがひしめきあうCセグメントにクラスを上げたのだ。しかし、日本においてスズキブランドにCセグメントのイメージはない。しかも、クロスオーバーや輸入車というイメージもスズキには薄い。そういう悪条件が年間600台という慎重な数字になったのだ。

「もちろん開発に携わった人間としては、もっと売れてもいいクルマだと思います。先代ゆずりの繰安性の良さに、今回はスズキ独自の新しい4WD技術のオールグリップを採用しました。乗り心地も居住性も良くなっています。日常生活からレジャーまで利用でき、かつファミリーが使えるようなコンセプトで作っていますから」と横山氏。

2006年にクロスオーバーをコンセプトに誕生したSX4。それから約10年を経た現在、SUV/クロスオーバー人気は世界的なものとなった。時代を先取りして誕生したSX4は、SX4 S-クロスとなって、その波のただ中に立っている。日本にも徐々に押し寄せるSUV/クロスオーバーの波は、SX4 S-クロスをどのように押し上げるのであろうか。

《鈴木ケンイチ》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る