定常領域のスペックでは表せない「動的質感」…スバルが目指す車づくり

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スバル インプレッサスポーツ2.0i EyeSight
スバル インプレッサスポーツ2.0i EyeSight 全 8 枚 拡大写真

スバルでは、モデルチェンジやマイナーチェンジとは別に年次更新として、車の細部の改良・改善を続けている。そこでスバルが求めているのは「動的質感」の向上だという。

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スバル技術本部 車両研究実験第1部の藤貫哲郎部長は、動的質感とは「スムースさや気持ちよさといったスペックで表せない感性領域の性能」であり、さらに「定常領域の技術開発ではなく過渡領域での技術開発」だと話す。どういうことか。藤貫氏によれば、車体剛性、ロール、タイヤの接地面、振動・騒音のような性能(結果の数値)を追い求めるのではなく、その特性に至る過程の性能を考えた技術開発をすることで、乗り心地や気持ちよさを高めることだ。

『インプレッサ』のサスペンションを例にあげると、まず定常領域では次のような技術開発を行う。コイルスプリングの形状、ばね定数等のチューニングで接地荷重変動を低減させ、操舵の応答性はステアリングギア比やクロスメンバーの補強他で実現する。リアのねばりを出すためにリアトレーリングアームのブッシュをチューニングする。

これだけで、ロール角を抑えたり、接地荷重を均一にしたり数値データ上での改善は実現できる。しかし、開発をここで止めるのではなく、そのロール角や荷重に至る間の動きもセンシングやシミュレーションで解析し、チューニングを行う。これが過渡領域での技術開発であり、最終的な動的質感の向上につながる。

ステアリング操作の場合、人間がハンドルを操作して、ギアボックスに回転が伝わり、ナックルアームとサスペンションの動きによってホイールが動き、タイヤが動くという多数の要素が連携している。ハンドル操作からタイヤが動くまで、およそ185msかかるという。スバルでは、エンジニアたちが、これらを測定するテスターや計測システムを開発し、ミリ秒単位のサスペンションの動き、ボディのねじれ(応力)、タイヤ接地面・圧の変化を分析している。

年次更新では、このような研究開発の結果をすこしずつ車両にフィードバックしていく。そして、スバルが目指す車づくりは「価格は200万円から300万円でありながら、安心と愉しさは500万円から600万円の上級クラスの車」(藤貫氏)なのだという。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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