大山ケーブルカー新車体は眺望性を向上…10月から運行開始

鉄道 企業動向
10月1日から運行を開始する大山ケーブルカー新車体のイメージ。ブリリアント・グリーンを基調とし、山下側は屋根の一部まで回り込む大型の曲面ガラスを採用する。
10月1日から運行を開始する大山ケーブルカー新車体のイメージ。ブリリアント・グリーンを基調とし、山下側は屋根の一部まで回り込む大型の曲面ガラスを採用する。 全 5 枚 拡大写真

大山鋼索線(大山ケーブルカー)を運営する小田急グループの大山観光電鉄は3月24日、新型車体のデザインを発表した。10月1日から営業運行を開始する。

大山観光電鉄は、再開業50周年を機に大規模な設備更新工事を実施。5月18日から9月30日まで運休する。これに伴い、現在の「たんざわ号」「おおやま号」は5月17日限りで引退し、運行を再開する10月1日から、車体新造車が登場することになった。

新しい車両は、小田急の特急ロマンスカー50000形「VSE」などをデザインした、岡部憲明アーキテクチャーネットワークがデザインを担当。小田急エンジニアリングと川崎重工業、大阪車輌工業が車体を製造する。コンセプトは「大山の特色ある眺望・景観を取り込んだ展望車両」。大山の四季を表現したブリリアント・グリーンを基調とした塗色とし、1号車はゴールド、2号車はシルバーのアクセントカラーが入れられる。

車内は、相模湾を望むことができる山下側に展望席が設置される。この部分は眺望性を高めるため、屋根の一部まで回り込んだ大型の曲面ガラスを採用。前面を絞った構造にすることで「フレームで縁取った美しい記念写真のような前面展望」を提供するという。展望席は、山下方向へ走行する時は6席、山上方向へ走行する時は乗務員室も開放して8席とする。側面や山上側にも大型ガラス窓を設け、山上側の前面は山下側とは対称的な平面状となる。

また、車内に広がりを持たせるヴォールト(ドーム)型を採用するため、パンタグラフを山上側に移設し、中央部から山下側にかけて天井の高さを拡大する。車内照明はLED化して「やさしい明るさ」で演出するとともに、夜間は照明を落として大山の夜景を楽しめるようにする。

眺望性を高める演出は線路施設にも及び、これまで眺望を阻害していた架線を撤去。車体にリチウムイオン電池を搭載し、車内電力を供給する方式を採用する。電池への充電は、各駅に設置された剛体架線から行う。通信回線は、枕木上面に通信用ケーブルを敷設し、車内に誘導無線の車上局とアンテナを搭載して無線による通信を行う。

このほか、車内の階段高さを現在の最大240mmから160mm以下に縮小。ドアの自動化や位置の変更により、スムーズな乗降を図る。バリアフリーにも配慮し、車椅子スペースや自動開閉に対応したドアチャイム、ドアランプも導入される。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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