【マツダ ロードスター 新型】スポーツカーとして突き詰められたパッケージング

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マツダ ロードスター 新型(量産試作車)
マツダ ロードスター 新型(量産試作車) 全 12 枚 拡大写真

6月に発売予定の新型マツダ『ロードスター』。その商品づくりの根源となるパッケージングについて考察したい。

◆パッケージ追求で生まれたスポーツカーの世界に浸る

美しいプロポーション、そして運動性能、操縦安定性に大きく影響する50:50の前後重量配分、ヨー慣性モーメントの低減、低重心化を実現した要が、パッケージングである。

新型ロードスターの全長は歴代でもっとも短い、先代比ー105mmの3915mm。全高は10mm下げられ、前後オーバーハング、ホイールベースを切り詰めることなどで徹底したコンパクト化、軽量化が計られている。

ボンネットは28mmも下げられ、カウル位置を77mm、Aピラー位置を57mm後方化。一方でリヤデッキを29mm前方化し、乗員のヒップポイント(着座位置)を15mm内側かつ、20mm下げている。

そして1.5リットルへとダウンサイジングされたエンジンは15mm後方化し、13mm下方化。マツダが考える、ロードスターにとって、ライトウェイトオープンスポーツにとっての、理想的で自然なキャビンレイアウト(風の巻き込みも極めて少ない)、低重心、車体のほぼ中央に乗員が座る人間中心のコクピットを実現したわけである。

初めてロードスターのコクピットに収まるユーザーが乗り込んだ瞬間、路面スレスレに着座するような感覚でスポーツカーの世界に浸り切れるのは、そうした、一段と突き詰めたパッケージングによるものである。

結果的に頭上、ひざ回り、肩回りスペースは先代同等。コンパクト化されてもキャビンが窮屈になったわけではない…どころか、先代比で室内長は+65mmの940mm(ここだけはインパネデザイン、測定ポイントのの影響が大きく、あまりあてにならないが)、室内幅は+10mmの1425mm、室内高は+10mmの1055mmを実現しているのだから、これはもう見事なパッケージングと言うしかない。

◆ドライビングポジションにも当然のこだわり

ペダルレイアウトもパッケージングを構築する際に欠かせない要素である。クルマによってはタイヤハウスの関係によってペダル位置がドライバー中心からズレているケースもあるが、ロードスターはドライバーの体をねじらせることなくまっすぐペダルが踏める配置にこだわっている。6MT車では先代に対してクラッチペダルを15mm左側に寄せつつ、ブレーキペダルとクラッチペダル間距離を19mm拡大。オルガン式アクセルペダルの採用と合わせ、ヒール&トゥがしやすいレイアウト、形状としているのだ。

軽量化のためネット素材とウレタンパッドを組み合わせ、一段と低くセットされたシートはリクライニング角度を2度拡大するとともに、シートを前方にスライドさせたときの座面上昇角度を先代の6度から10度に変更。これはシートを前寄りにセットしがちな小柄なドライバーの視界に配慮したもので、ドライビングポジションの自由度が増している。

もっとも、身長172cmで前寄りのドライビングポジションを好むボクでも、6MT車でシートスライドをクラッチ操作とフットレストに合わせると、ポジションはかなり前寄りになってしまう。366mm径のステアリングは先代+10mm拡大した上下42mmのチルト機構を持つものの、テレスコピック機能が欲しい! と思わずにいられなかったのも事実。これは、アメリカ人の身長185cm体型を基準に設計しているからだと思われる。

が、開発陣の話では、テレスコピック機能を採用しなかったのはコスト面はもちろん、重量増とインパネ高が30mm上がってしまうデメリットがあるからとのこと。なるほど、納得ではあるが、今後、それらを克服した軽量コンパクトで廉価なテレスコピック機構の実現を望みたいところである。

◆ボンネットのエッジが持つ役割

ところで、新型ロードスターのボンネット左右端、フロントフェンダー部分には視界にしっかりと入る稜線の通ったエッジがあるのだが、それは車両の左右端の位置をつかみやすくするとともに、運転操作によるローリング、ヨーイング、ピッチングの車両挙動を分かりやすくし、スポーツ走行、山道などで威力を発揮してくれる機能を持っている。ただのデザインでは決してないのである。

全長、ホイールベース、オーバーハングの短縮などでシワ寄せがくるはずのトランクは、たしかに容量としては先代の150リットルから130リットル(DIN方式)へと減少しているものの、底部の奥行きを35mm、深さを36mm拡大。機内持ち込みサイズのキャリーケース2個を上下に重ねられるスペースが確保されているのだから、日常シーンはもちろん、国内旅行で困ることはまずないと思われる。

《青山尚暉》

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