のと鉄道の新型車両を見る…NT300形『のと里山里海号』

鉄道 テクノロジー
のと鉄道の新型車両・NT300形気動車に取り付けられた『のと里山里海号』のヘッドマーク。4月29日から運行を開始する。
のと鉄道の新型車両・NT300形気動車に取り付けられた『のと里山里海号』のヘッドマーク。4月29日から運行を開始する。 全 22 枚 拡大写真

のと鉄道が4月29日から運行する観光列車『のと里山里海号』には、新型のNT300形気動車が導入される。車体構造や走行装置など、基本的な仕様は2005年に導入されたNT200形気動車とほぼ同じだが、車体塗装や内装は観光列車向けに大きく変更されている。

【画像全22枚】

のと鉄道は、能登半島の津幡(津幡町)~七尾(七尾市)~和倉温泉~穴水(穴水町)間87.5kmを結ぶ七尾線のうち、七尾~穴水間33.1kmの区間で列車を運行している石川県の第三セクター。七尾線の線路施設は全てJR西日本が保有しているが、同社は金沢~七尾間を結ぶ普通列車と大阪・金沢~和倉温泉間の特急列車のみ運行しており、七尾以遠の普通列車はのと鉄道がJR西日本から線路施設を借り入れて運行している。

のと鉄道のこれまでの発表によると、近年は団体観光客が大幅に増加している。今年は北陸新幹線長野~金沢間の延伸開業により利用者のさらなる増加が見込まれることから、観光列車の運行を決定。観光列車用の新型車両としてNT300形2両を導入することにした。列車名は公募により『のと里山里海号』に決まった。

近年、ローカル線の観光列車用として新造・改造された車両の多くは、JR九州のクルージングトレイン『ななつ星 in 九州』などを手がけた水戸岡鋭治さんがデザインを担当しているが、のと鉄道は名古屋市のデザイン会社「コボ」の山村真一社長にNT300形のデザインを依頼した。山村社長は金沢美術工芸大学の非常勤講師や石川県エコデザイン審査委員長を務めるなど、石川県との縁が深い。

【車両】
今回新造されたのは、NT301とNT302の2両。NT301は「里山車両」、NT302は「里海車両」を名乗る。いずれもNT200形と同じ新潟トランシス製の軽快気動車(NDCシリーズ)で、車体の寸法や形状、走行装置などもNT200形とほぼ同じだ。定員はNT301・NT302ともに各42人となっている。

車両の両端に運転台を設けており、1両での運行が可能なほか、NT200形と連結して運行することも可能。NT300形2両を連結して運行する場合、原則的には穴水方がNT301「里山車両」、七尾方がNT302「里海車両」となる。

【外観】
塗装は観光列車用としてNT200形から大きく変更。濃紺色(日本海ブルー)を基調とし、車体下部にえんじ色を配した。濃紺色は「能登の海」、えんじ色は「能登に広がる大地や実り」をイメージしているという。

【内装】
車内は2両ともNT200形と同様、ドアデッキ(片側2カ所)と客室を完全に仕切る壁がなく、運転台の脇にはワンマン運転時に使用する運賃箱が設置されている。それ以外は観光列車用としてさまざまな工夫が凝らされた。

座席は穴水方に4人用ボックス席、七尾方に海向き席を配置。海向き席は、海側に8席分、山側に4席分設けられているが、山側の席は1段高いスキップフロアのソファ席として眺望性を高めている。このほか、穴水方の運転台の脇には2人用の展望席が設けられた。

各席に設けられているテーブルは能登ヒバ、ボックス席のヘッドレストカバーは能登上布を使用。デッキ部と客室部の間などには、田鶴浜建具の組子と輪島塗を組み合わせたパーティションを設置するなど、能登の天然素材や伝統工芸品を活用している。地元の伝統工芸品を展示するミニギャラリーも設けられた。

●NT301(里山車両)
サービスカウンターが七尾方に設けられており、運行時のサービス拠点として使用される。座席の色は「里山の実り」をイメージしたオレンジ系統を基調とした。トイレは設置されていない。

●NT302(里海車両)
サービスカウンター付きのNT301に対し、NT302はトイレが設置されている。それ以外の座席配置はNT301と共通だが、座席の色はブルー系統を基調としており、「豊かな里海」をイメージしている。トイレの手洗い鉢は能登島のガラス工芸品を採用した。

《草町義和》

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