【スズキ アルト 試乗】「車重650kg」が走りの軽快さを生む…松下宏

試乗記 国産車
スズキ アルト
スズキ アルト 全 15 枚 拡大写真

軽自動車の定番商品『アルト』がモデルチェンジで大幅な軽量化を実現した。最近は軽自動車も装備の充実化によってクルマが重くなる傾向が強かったが、アルトは改めて軽量化に挑戦し、従来に比べて60kgの軽量化を達成した。最上級グレードのXでもFF車は650kgという軽さである。

そしてこの軽さが走りの軽快さにつながっている。アクセルペダルを軽く踏み込むだけでスムーズに走り出し、走り出した後も滑らかに加速が伸びていく。この軽快感はなかなか気持ち良いものだ。クルマは軽いことが大切だということを改めて思い起こさせてくれる。

元気良く走らせたいなら、アクセルを強く踏み込めば良い。アクセル開度に応じて副変速機付きのCVTがロー側を使って力強く加速していく。

ボディや走りの軽さが軽薄さにつながる部分がないとはいえない。それでも変な安っぽさを感じさせないのが良い。軽自動車は上級車に比べて走りの質感で劣るのはやむを得ないが、アルトの走りは不満を感じさせない。新開発のプラットホームをベースにボディ剛性を高めたことが、走りの良さにつながった部分があるのだろう。

軽さが貢献して燃費が向上した。FF車はJC08モード燃費で37.0km/リットルに達している。これはハイブリッド車の『アクア』に並ぶもので、市販のガソリン車として世界最高燃費となる。アルトではエネチャージやアイドリングストップなど、スズキのグリーンテクノロジーを採用するとともに、エンジンやトランスミッションに様々な改良を加えることでこの低燃費が実現されている。

新プラットホームに合わせてサスペンション形式が変更された。今回のアルトでは軽量化などのためにトーションビーム式を採用したが、これがフラット感のある乗り心地などにつながり、快適性を高めている。

新型アルトに乗り込むと、グレードによって60mmの調節量を持つシートリフターや調節量を35mmに拡大したチルトステアリングなどが備えられていて、きめ細かい調整で最適なドライビングポジションを確保できる。軽自動車では省略されることの多い装備だが、正しい姿勢で運転するために欠かせない装備ともいえる。

室内空間は一段と広くなった。新開発のプラットホームが採用されたことが大きな理由だ。軽量化や高剛性化、衝突安全の向上など、時代が要求するいろいろなニーズに対応して開発された新プラットホームで、これは今後のスズキ車に広く採用されていくことになる。

車両価格は最上級グレードグレードのXでもFF車なら110万円台前半。オートエアコンやキーレス・プッシュスタートシステム、LEDウインカー付きドアミラーなど、充実した仕様が用意されている。もちろんレーダー・ブレーキ・サポートも標準装備だ。

ひとつ下のSもレーダー・ブレーキ・サポートをオプション装着して100万円強の価格だから、XかSを選べば良い。十分に納得モノの価格である。クルマの出費を抑えてほかのことにお金を使いたいタイプのユーザーなら、迷わずアルトを選んだら良いと思う。最廉価グレードは後席ヘッドレストレイントが装備されていない。これは問題外である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  3. スバルマークの方が似合う? 新型ダイハツ『ムーヴ』のスバル版にSNSも注目!
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  5. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
ランキングをもっと見る