「水着」に着目されるのに違和感…ビーチバレー選手・田中姿子

エンターテインメント 話題
ビーチバレー 田中姿子選手
ビーチバレー 田中姿子選手 全 16 枚 拡大写真

インドアバレー界から、惜しまれつつもビーチバレーに転向した田中姿子選手。

どんなことがあっても心が折れることはないという。その理由は、ただただビーチバレーが純粋に好きだから。「ビーチバレーはバレーの集大成だ」と語る田中選手は、上に向かって1歩1歩歩き続ける。

■ビーチバレーとは

「ビーチバレー」はビーチなどの砂地で行う、2人制のバレーボール競技です。6人制バレーのように専門特化したスキルだけが求められるのではなく、レシーブやパス、トス、サーブなどあらゆるスキルが要求されます。球技的で、なおかつ総合的な運動神経を求められるといっても過言ではないでしょう。さらに太陽の光がさんさんと照りつける暑いビーチで、絶え間なく吹き付ける風をからだと感覚でとらえ、プレーごとに形を変える砂を足場にプレーするのですから、その難しさは想像以上のものといえます。なお、オリンピックの正式種目であり、かつ観客動員数の費用対効果No.1を誇った競技です。海外では人気スポーツとしてさまざまな演出効果(音響など)がなされ、観客のボルテージを最高潮に熱く震撼させます。しかし、日本ではそのような演出がなされていません。いずれにしても人気スポーツであるとともに、観客を魅了する楽しいスポーツなのです!

http://www.letsbeachvolly.com/txt/toha.htmlより引用

■誤魔化しのきかないチームスポーツ

---:ビーチバレーをはじめたきっかけは?

田中姿子選手(以下、敬称略):元々6人制のバレーを企業のチームに所属してプレーしていたんです。在籍していたある時、若手の選手たちでビーチバレーの大会に参加する機会があったのですが、そこではじめてビーチバレーを経験したんですね。それがすごく楽しくて、もっと本格的にやってみたいな、という思いがその時からありました。
---:ビーチバレーの魅力とは?

田中:ふたりで行うスポーツなので、自分とペアの実力で勝敗がもろに決まってくるというところです。ビーチバレーはそこの部分がバレーと違って魅力的だと思います。

パートナーとしっかり向き合って、自分たちがどこを目指してやっていくのか。そういう根本的なところが必要です。人間性も問われてくると思いますね。最少人数のチームスポーツなので。6人でやるバレーはそれぞれ担当など分散してしまうので、なんというんでしょう、誤魔化しが効くというか。

【次ページ 「水着でやる」ことに着目される違和感】

■「水着でやる」ことに着目される違和感

---:競技をやっていく上での苦労はありますか?

田中:苦労したことはあまりないのですけれど、人気選手が出てきて競技にも注目が集まってきている中で、どうしても「水着でやっている」という点が着目されてしまいがちです。選手がグラビアをやったりだとか。

そういう目線でビーチバレーという競技をとらえてしまう人たちが増えているのは個人的には違和感を覚えますし、「ビーチバレー」という"競技としての認知度"はまだまだ高くないと思います。

ただ、そういった視点からこの競技に興味をもった人が、そのうち他の視点から競技自体に興味をもってくれるかもしれない。だから、そういった部分も必要ではあるのかな、と思います。

---:ビーチバレーをやる時期は夏中心でしょうか?

田中:3月~11月がシーズンとなっています。国内だけではなく、タイやインドネシアなどのアジアツアーなどもありますので、そういった海外の試合にも参加しています。やろうと思えばオーストラリアのツアーに参加するなどして、一年中活動することも可能だとは思います。
---:活動するには資金が必要になってきますよね?

田中:そこが問題ですね。今はフリーで活動していて、企業にいたときと違って会社がどうこうというわけでもないので、バレー教室の類に呼んでいただいたりして、なんとか生きてます(笑)。

---:アルバイトはしていますか?

田中:バイトはしていないです。まだビーチバレーでは競技人口が少ないので需要がなく呼ばれることがないので、6人制のバレーの教室に呼ばれていたりします。ママさんバレー、パパさんバレーなど。バレー自体の人口は多く、そういったところで色々な形でお呼ばれすることは多いです。

---:趣味ではなく、競技でやっていこうとした決意というのは?

田中:やはり、自分がやりたくて本格的にはじめた競技でもあり、世界の選手たちと闘っていくのがすごく面白いからだと思います。ビーチバレーは砂の上でやるし、風もあるしで、「自分はいままでなにをやってきたんだろう」というくらい、今までやってきたバレーとは異なる競技なんです。

ただ最近は「最終的にはバレーボールの一種だな」ということがわかってきた。今まで続けてきたバレーの経験も活かして、「世界にはどうやって勝っていけばいいんだろう」ということを考えていくのはすごく面白いです。

【次ページ 「ビーチバレー」はバレーの集大成】

■「ビーチバレー」はバレーの集大成

---:普通のバレーと違い、砂浜でやるための足腰の強さは必要ですか?

田中:そうですね。足腰が強くなければいけないのはもちろん、プレーの部分も基本がしっかりしていないとまともにプレーすることができない。ある意味、バレーの集大成はビーチバレーなんじゃないかと思っています。

---:ビーチでやるという点で、遊びというか、そういった競技に見られがちという点もあるかと思うのですが。

田中:そうですね。国内ではそういう部分もあるのかと思います。マイナー競技に関しては日本はかなり後進国だと思っていて、ビーチサッカーとか、ビーチテニスとか。そういったビーチでやる競技も他にあるのですが、海外ではすごく人気があるんですよ。ロンドンオリンピックでも、全スポーツで集客数が1番多かったのはビーチバレーでもあるんです。それぐらい世界でも認められているのに、日本はちょっと…と思う部分もあります。
---:なぜ海外では人気があるのでしょう?

田中:エンタメ的な「水着の選手が出ている」という面もあるとは思うのですが、それよりも、「スポーツを見る楽しみを知っている」という部分があるかと思います。これを言ってしまうとおしまいだとは思うんですけれど…。

【次ページ 試合さえ面白ければ観客は見に来てくれるはず】

■試合さえ面白ければ観客は見に来てくれるはず

---:浅尾美和選手の引退というのは業界にとってはやはり大きかったんでしょうか?

田中:どう…なんでしょうかね。競技をやっている人間からすると、「あぁ、辞めたな」というくらいの感覚なんですけれども、確かに見に来てくれる人が減ったかもしれません。

でも、それは「試合が面白くない」というのもあると思っていて、浅尾さんが目当てで試合を見に来てくれていた人でも、純粋にビーチバレーの試合が面白ければ、浅尾さんが引退しても試合を見に来てくれると思うんです。だから、そういったところにも問題があるのかな、とは思います。

---:客層というのは男性と女性、どちらが多いのですか?

田中:いや、半々くらいだと思います。色々あるのですが、男子の選手には女子のファンがついていたりだとか、女子選手には男子のファンがついていたりだとか。30代~40代の方が多いかもしれません。

---:昨シーズンの実績はどうでしたか?

田中:昨年は夏頃にケガをしてしまったのと、一昨年にはペア解散してしまったのもあって、あまりうまくいかなかったです。一昨年のペアの子は「歌手になりたい」と言って辞めてしまって…。186cmあって有望だったですけれども。それ以降あまりペアには恵まれていないという状況でもあります。

---:パートナーはどうやって探すのでしょう?

田中:やっぱり、やっている人に声をかけていくしかないですね。しっかり話し合って、どこを目指していくのかをはっきりさせないと、ペア解消にもつながってしまうので…。
■自分はもうすこし頑張ってみようかな。

---:いつまで現役を続けられるかというのはあるのでしょうか?

田中:そうですね。昔はやっぱりオリンピックが目標だったので、そこが終わったら辞めることも考えていこうかな、とも思っていたのですが、「最近はやれるところまでやろう」と思っています。同世代の方や、先輩の選手も応援してくれたり、「やれるんだったらできるところまでやれた方がいいよね」という意見もあって、自分もそれに感化されてできるところまでは精一杯現役でやっていこうと思います。

友達でも、たまに会うと自分のやりたいことを抑えて会社に勤めていたりする人もいる。そういう人たちと話すと、「じゃあ自分はもうすこし頑張ってみようかな」という気になったりもしています。

---:今年度の目標を教えてください。

田中:大きな目標を掲げていても足元がないとなにもできないので、目の前のことをひとつひとつクリアしていくことに集中していきたいと思います。誰かに強制されてやっていることでもないので、とにかく前向きに取り組んでいきたいと思います。

【Next Stars】ビーチバレーはバレーの集大成だ…田中姿子選手

《大日方航@CycleStyle》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. かつての『ハイラックスサーフ』、15年ぶりのモデルチェンジへ…トヨタが予告
  2. 今スズキの250ccスポーツが面白い!快適ツアラーな『GSX250R』に俊足エクスプレスの『ジクサーSF250 / 250』もPR
  3. 【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】「アウトバック」以来、30年にわたる挑戦の成果…諸星陽一
  4. 東京E-Prix 市街地コースは臨海都心に準備…フォーミュラE[写真32枚]
  5. ドライブ中の突然の曇り問題にサヨナラ! DIYでウインドウ曇り防止 ~Weeklyメンテナンス~
  6. 日産『エルグランド』一部仕様変更、安全装備を強化
  7. 三菱『エクリプス クロスPHEV』は、新しい毎日に踏み出せる「今の時代、最強の1台」だPR
  8. BYDが高級ブランド デンツァ『D9』の先行受注を開始! 同じ右ハンドル市場の日本投入は?…バンコクモーターショー2024
  9. ホンダ『フリード』次期型予想に注目! ボディ拡大? デザインは?…土曜ニュースランキング
  10. マットブラックのカスタムハイエース、限定20台で発売決定
ランキングをもっと見る