【INDYCAR 第5戦】インディGPは王者ウィル・パワーの完勝…琢磨が今季最高9位に

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
#1 パワーが今季初優勝。
#1 パワーが今季初優勝。 全 8 枚 拡大写真

インディカー・シリーズ第5戦の決勝が現地9日に実施され、前年のシリーズ王者ウィル・パワーがポール・トゥ・ウインで今季初勝利を挙げた。佐藤琢磨は今季最上位となる9位でフィニッシュ。

5月はインディを戦う者たちにとって特別な月だ。月の後半に控える米国最大のレースイベント「インディ500」(シリーズ第6戦)に向けてすべてをフォーカスさせていくことになるが、昨年からインディ500開催前に同じインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)で前哨戦的に開催されるようになったのが、この第5戦“インディGP”である。

前哨戦的なレースとはいっても、コースは異なる。インディ500で使用する伝統のビッグオーバルの一部と、その内側のロードセクションを組み合わせたコース、かつてはF1アメリカGPの開催舞台でもあった“インディアナポリス・ロードコース”がインディGPでは使用される(コースレイアウトにはF1開催時代とは異なる部分もある)。

82周のレースは、スタート直後に多重クラッシュこそ発生したが、その後は大きなアクシデントなく推移。F1的なピットストップ攻防を巡る緻密なレース展開となっていくが、そこで完勝劇を披露したのが、ポール発進の王者パワー(#1 Team Penske/エンジンはシボレー)だった。

パワーはピットストップ時期以外は実質の先頭を譲らぬ走りで逃げ切り優勝。終盤、2位のグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/ホンダ)が2秒前後のところまで迫りはしたが、これといったピンチには見た目上、遭遇しておらず、圧勝と言えないまでも完勝で今季初優勝を飾った。

「今月は(このIMSで)4つ、誰もが1番になりたいセッションがある。GPの予選と決勝、そして500の予選と決勝だ」と語るパワーは、GPのポール・トゥ・ウインによって「それ(全部1番になること)が可能になったし、それが今月のゴールだ」とも語っている。「シリーズチャンピオンを昨年獲得した私は、今、インディ500初制覇に集中している。それにGPと500の両方で勝てるとしたら、それは信じられないことだよね」。王者パワー、勝利の余韻に浸るよりも、悲願の500獲りをGPとのダブル・ポール・トゥ・ウインで成し遂げることに向け、早くも意気軒昂な様子である。

2位のレイホールは予選17位からの浮上だった。1回目のピットストップをパワーら上位陣よりも後ろに引っ張るなど燃費を意識したと思われる戦略的な走りが奏功し、2戦連続の2位フィニッシュ。予選ではシボレー勢に1~10位を独占されたホンダ勢において、救世主的な活躍を決勝で演じた。「マシンにはとても安定感があった」と語るレイホールは、「ホンダは休みなしのハードワークで開発を続けてくれている。エンジンもエアロキットもさらに速くなるだろう。そうすれば強敵に今以上に対抗することができる」とも話している。

3位はファン・パブロ・モントーヤ(#2 Team Penske/シボレー)で、以降8位まではシボレー勢が並んだ。4位はセバスチャン・ブルデー(#11 KVSH Racing)で、5位にチャーリー・キンボール(#83 Chip Ganassi Racing)、6位がエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske)。

今季はこれで5戦ともウイナーが異なるシリーズ展開となっているが、ポイントリーダーの座は開幕ウイナーのモントーヤが死守している。ポイント2位は5点差のパワーで、さらに5点差でカストロネベスと、シリーズ上位をTeam Penske勢が独占中。

佐藤琢磨(#14 A.J.Foyt Racing/ホンダ)は22番グリッドという苦しいスタート位置だったが、1周目の混乱をうまく抜けると、その後はほぼ10位台前半のポジションでレースを進め、最終的には今季最高の9位フィニッシュを果たすこととなった。

佐藤琢磨のコメント
「とてもいい一日にできました。レースを楽しめましたね。1周目のアクシデントの時は、目の前で起こっていることのすべてを冷静に見ていました。そのおかげで大きくポジションを上げることができたんです。タイヤのラバーが乗って路面状態が良くなってきてからは、マシンのハンドリングも良くなってハイペースで走り続けることが可能になりました。クルーたちがピットストップで素晴らしい仕事をしてくれ、コース上で何台かをパスすることもでき、トラブルなし、ミスもなしのレースを、今日の私たちのチームは戦えました」

インディアナポリス(ロードコース)といえば、琢磨にとっては04年のF1アメリカGPで3位表彰台に立った地でもある。メモリアルスポットで上昇気流に乗った彼には、ぜひとも3年前に優勝目前まで迫ったインディ500、その初制覇という快挙を期待したいところだ(シボレー勢優位な今季ではあるが、シーズン初のオーバル戦でもあるインディ500で戦況が変わる可能性はある)。

全米、そして世界が注目する第99回インディアナポリス500マイルレース(今季シリーズ第6戦)は、現地24日に決勝を迎える。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  3. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  4. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
  5. アルファロメオの新型コンパクトSUV『ジュニア』日本発売、ハイブリッド車が420万円から
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る